――PCについてお伺いしたいのですが、モデリングを始めた当初はどのような環境で作業されていたんでしょうか。
かこみき 当初はスペックとか、ぜんぜん気にしていなかったです。ふつうに家電屋さんに行って、300MHzぐらいで動くPentium IIを搭載したPCを買いました。一緒に「myShade」を買って、そこからモデリングを始めています。当時はよくわかってなかったので「こんなもんか」と思っていたんですが、レンダリングには1日以上かかりましたね。レンダリングして寝て、朝起きたら半分ぐらい終わっていて、そのまま会社に行って帰ってきたらあとちょっと、みたいな。
――動画エンコードなど、当時はそれぐらい時間がかかって当たり前の時代ですよね。そこから、2台目のPCはスペックアップを目的に買い替えられたんでしょうか。
かこみき そうです。ネットで知り合った3DCGをやっている方が「LightWave」という3Dソフトを使っていたのですが、それを見て、自分も少しスペックを上げないとだめだなぁと思ってPCを自作したんです。お店で「3DCG制作に使いたい」と言って、パーツを選んでいただいて。ちょうどAMDのCPU「Thunderbird」などがあった2000年代のはじめごろだったと思います。それを長く使っていたんですが、ずいぶん古くなってきたので、その次からTSUKUMOさんのBTO PCに乗り換えました。
――1度自作をして、TSUKUMOのBTO PCに丸ごと買い替えたわけですね。TSUKUMOのPCを選んだ理由はなぜですか?
かこみき 買い替えようかなと思った頃には自作PCがだいぶ古くなってしまっていたので、部分的に換装するのは厳しいなと。だからといってもう一回自作をするのか、と考えた時に、ちょっと辛いなと思ったんです。それからメーカー製PCとBTO PCを天秤にかけて、結局TSUKUMOさんのBTO PCを選びました。実店舗が近くにあっていいな、と思ったのが最初のきっかけです。ハードウェアの知識がないですから、困ったら(大須の)店舗に持ってくればいいかな、と考えていました(笑)。あとは、メーカー製PCのように不要なソフトがたくさん入っていないことや、PCケースのデザインがシンプルで気に入ったことも決め手になりましたね。それからはTSUKUMOさんのPCをずっと購入していて、現在までに3台使用しています。1台目の構成はCPUがAMD Athlon64 X2 3800+でGPUはオンボード、メモリーは1GBでした。後にグラボとメモリを増設しました。2台目はCPUがCore i5-3470、GPUがGTX 660で、メモリーは16GBでした。1台目はメモリー不足に悩まされたので、2台目は当時としてはかなりメモリー容量にこだわっています。それ以外は予算内で収まるようにしました。
――第3世代CoreプロセッサーとGTX 660というとミドルクラスの鉄板構成ですが、メモリー容量16GBは当時としては多めですね。今年に入ってからそれも買い替えて、現在はCPUがCore i7-8700、GPUがGeForce GTX 1060という構成のBTO PCで作業をされているそうですが、こちらはなぜ買い替えたのでしょうか。
かこみき 古いPCでも作業はできていたんですが、作業性を良くしたくて買い換えました。2台のTSUKUMOさんのPCを使ってきて信頼していたので、引き続きTSUKUMOさんで購入しています。基本的には、「CLIP STUDIO PAINT」推奨PCをカスタマイズして注文しました。ペイントソフトですが、あれが動けばCGも快適だろう、という見込みを立てたんですね。参考になるモデルがあると、選ぶ側としてはありがたいです。
――PCを現在の構成に変えてみて、いちばん良くなったと思う点はどこでしょうか。
かこみき OSがWindows 10になってしまったので、そこは慣れるまで使い勝手が違うなとは思っているんですが、ストレージはHDD単体からSSDとHDDの併載になったので、PCの起動がびっくりするぐらい速くなりました。もともとSSDは登場した頃の「よく壊れる」という話のイメージが強くて、ちょっと不信感があったんです。何事も疑ってかかるほうですし、今でもまだ不信感が消えたわけではないのですが、TSUKUMOさんを信じて導入しています(笑)。使ってみて、静かさや速度は確かに凄いな、と思いました。ソフトウェアの処理に関しては、最新のPCとひとつ前のPCで簡単なベンチマークをしてみたんです。1体の3Dモデルのポリゴンを細かく分割してからリトポロジー(編注:モデルのポリゴンメッシュを再構成する作業。主にモデルのポリゴン数を減らす目的で利用される)を適用する際の時間を計測したのですが、古いPCで2分20秒だったところが、新しいPCでは1分20秒になったので、2倍くらいは速度が向上しました。実際に仕事をするときになると、この差はでかいだろうなと。
――処理の時間がほぼ半分になるというのは大きなメリットですね。先ほど「PCに詳しくない」とおっしゃられていましたが、古いPCのスペックなどもよく覚えておられますし、話していて機材へのこだわりを強く感じます。
かこみき 自分としては、まずソフトウェアありきで、その後にくるのがハードウェアです。PCは、壊れず動いてくれてしっかり成果が出てくれるのが一番いいですね。スペック面で言うと、「ZBrush(ズィーブラシ)」なんかはすべての処理をCPUで行うのですが、他のソフトではGPUも大事ですから、そこは特に気にします。 TSUKUMOさんのPCは、ここまで壊れずいてくれているので、そこはとても信頼しています。
――ちなみにこのPCだと、PCゲームもできるスペックですが、実際に遊ばれたりはしますか?
かこみき PCゲームも作業の合間にやったりします。と言っても「ロケットリーグ」ぐらいしかプレイしていないんですが……。以前は画質を下げて、エフェクトもほぼ切ってプレイしていたんですけど、PCを新調してからは「ちょっとブラー入れてみようかな……」みたいに、画質を盛れるようになりましたね。ただ、ゲーム中でもやっぱり勝ったり良いプレイがしたいので、少しでもfpsを上げられるように、まだ画質オプションをすべてオンにしたりはしていないです(笑)。あとはいま、Steamのセールで「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS (PUBG)」がちょっと安くなってるので気になってますね。前のPCだとプレイするにもスペックが……という感じでしたけど、せっかく新しいPCを買ったし、プレイしてみようかなあという気にはなってきました。
――モデリングの作業ではゲーミングマウスを使われているそうですが、ゲーミングマウスのほうが扱いやすいんでしょうか。
かこみき マウスはいろいろ捜し歩いていて、何個も何個も買ってしまっています。CGモデリングって、結局は「ここのポイントを狙ってクリックして、ここまで正確に動かす」って作業を要求されるので、とりあえず動けばいい、っていうようなマウスだとイマイチ使いにくいんです。それって、FPSのエイミングとやってることが変わらないんですよね。あとは、長時間握ることを考えられている形状とか表面素材とか、CGソフトの選択解除とか移動みたいなショートカットを入れられるボタン数や、有線であることにもこだわっています。選ぶときは可能な限り、実際に店舗で触ってみたりしますよ。自分の地元だと大量にゲーミングマウスを展示しているお店は多くはないので、TSUKUMOさんの品ぞろえの良さはありがたいですね。ちなみに、いまはROCCATの「Kone XTD」がいちばん手に合ったので使っています。PCに関してもそうですが、自分のイメージを直接モデルに反映したいと思うと、そこに障害があると思ったようにいかなくてイライラしてしまったり、納期があると「そんなことやってる場合じゃねえ!」って思ってしまうんです。なので、しっかり投資はするようにしています。