ムダのないトレーニングを実施するトレーナーはどんな視点を持っているのか?
山根氏、板井氏の両トレーナーに、ENGLISH COMPANYの責任者、田畑翔子氏を加え、パーソナルトレーナーのお仕事について話を聞いた。
——パーソナルトレーナーは一度に何人の受講生を受け持っているのでしょう?
田畑トレーナー 山根や板井のような、経験の比較的長いトレーナーで最大10名です。ひとりの受講生にふたりのトレーナーが付きますが、これは複眼的に受講生の課題を発見するためです。
——10名……。受講生の課題を掘り起こし、性格やライフスタイルまで把握して、LINEなどのツールを駆使しながらマンツーマンで指導するわけですから、10名でも少ないとはいえませんね。大勢の生徒相手に講義を行うような教師とは訳が違いますからね。
田畑トレーナー ENGLISH COMPANYではパーソナルトレーナーを育てる研修を行っています。各種メソッドを適切に提供できるよう徹底的に訓練を行いますが、それに加えてSLA(第二言語習得研究)の知見を基礎から身に付けてもらっています。なぜならSLAの知見がないと、言語処理のメカニズムが分からない。それが分からなければ受講生の課題を発見することもできないからです。
——パーソナルトレーナーに応募される方は、当然英語力に自信のある方ばかりだと思いますが、それでも御社に入るまで、SLAなる学問のことを知らなかったという方もいたのではないですか?
田畑トレーナー ほとんどの者が知りませんでした。大学院で学んだ者もいますが少数派です。山根や板井も、当初は知りませんでしたね。
——山根さんはENGLISH COMPANYに入社され、始めてSLAなる学問があることを知った時、どう思われましたか?
山根トレーナー 自分が英語を勉強していた時に知っていればと思いました(笑)。当時を振り返り、なんて非効率な勉強をしていたのだろうと思います。まさに目から鱗でした。先ほど板井が言ったように、現象の下に潜む本当の課題に気づける力が当時の私にあったなら、もっと英語の上達も早かっただろうと思っています。
——SLAについて、板井さんはどう思われましたか?
板井トレーナー 山根と全く同じです(笑)。自分が英語を勉強していた時に知っていたかったです。それから今のことで言えば、毎日のトレーニングが興味深くて仕方ありません。リスニングができない原因ひとつ挙げても、受講生一人一人、抱えている課題が驚くほど違います。この受講生がリスニングを苦手としているのは、SLAのあの知見に基づいているに違いない——そんな風に分析するのも興味深いし、それを受講生の皆さんにお伝えして、一緒に課題をクリアした時には、心底喜びを感じますね。
(提供:恵学社)