TBM3.0の効果はどのくらい?
ベンチマークの結果からその効果を確認してみた
前ページでも少し触れたが、Core XシリーズのうちCore i9-7900XとCore i7-7820Xの2モデルには「Intel Turbo Boost Max Technology 3.0」(TBM3.0)が搭載されている。これは通常のターボブーストをさらに進化させたような機能で、発熱量に余裕があれば2コアまでに限ってより高いクロックで動作してくれるというものだ。Core i9-7900Xを例に見てみると、通常時のベースクロックが3.3GHzと低めに設定されているが、ターボブースト時は4.3GHzにまで上昇。さらにTBM3.0では4.5GHzまで高速化する。マルチスレッド処理であれば多コアを活かして分担作業をすることで高速化し、シングルスレッド処理ならTBM3.0でコアを絞って高クロック動作させることで高速化するという、スキのない布陣といった様相だ。
では、このTBM3.0はどのくらい効果があるのだろうか。実は、付属のユーティリティでこのTBM3.0のオン/オフが切り替えられるようになっている。実際にベンチマークソフトを使って、どのくらい効果があるのかをチェックしてみよう。
シングルスレッド処理に限ればTBM3.0の効果アリ!
まずは「CINEBENCH R15」、シングルコアでのスコアーを見てみよう。テストに使ったPCはサイコムの「G-Master Hydro-X299」で、CPUは「Core i7-7820X」というのは変わりない。TBM3.0をオンにしている場合は195cbというスコアーで、この値はCore i7-7700Kの187cbを超えていた。
TBM3.0をオフにした結果は、マルチスレッド処理となるCPUでは1774cbと変化がないのに対し、シングルコアでは188cbとわずかながら減少。TBM3.0をオンにすると、再び195cbになっていたことから、確実にTBM3.0の効果がでていることがわかる。
もうひとつシングルスレッド処理の例として、「CPU-Z」のベンチマーク機能でもチェックしてみよう。
少し見づらいが、TBM3.0をオフにしている場合はマルチスレッドで4858.7、シングルスレッドで514.9というスコアーだったが、TBM3.0をオンにすると、マルチスレッドで4856.9、シングルスレッドで522.8となった。マルチスレッドでも数値は落ちているものの、0.1%未満となるためさすがにこれは誤差の範囲だ。これに対しシングルスレッドでは、約1.5%上昇していた。「CINEBENCH R15」ほどではないとはいえ、やはり効果はあるようだ。
最後に試してみたのは「3DMark」だ。このベンチでは明確なシングルスレッド処理に固定していないため、マルチスレッド処理に対して影響があるかどうかの確認のために試してみた。TBM3.0がオンの場合、Fire Strikeで21739、Time Spyで9743だったスコアーはどこまで変わるだろうか。
結果は見ての通りで、微減こそしているものの誤算の範囲といえるスコアーだ。実際3DMarkのベンチでは、条件が同じでもスコアーが数パーセント上下するのはあるので、TBM3.0をオン/オフしてもスコアーはほぼ変わらないといっていいだろう。
ここまでのテストから、シングルスレッドではTBM3.0の効果があり、マルチスレッドではTBM3.0にかかわらずほぼ同じ性能が出るといってよさそうだ。
ラジエーターのサイズが気になる水冷クーラーの実力は?
ここまで主にCPUの処理速度についてを見てきたが、実は気になる点がひとつある。それは、発熱の大きなCore i7-7820Xを冷やすのに簡易水冷クーラーを採用しているというのはいいのだが、そのラジエーターが120mm×120mmと小さいという点だ。発熱が大きければ120mm×240mmの大きなラジエーターでしっかりと冷やしたくなるだけに、一抹の不安がある。
ものすごくつまらないグラフとなっているが結果は一目瞭然で、最大でも81℃までしか上昇せず、温度はほぼ一定。右肩上がりとなっていないため、安定してしっかりと冷却できていることがわかる。ちなみに、負荷を止めた直後から50℃以下に一気に落ちており、アイドル時でも十分な冷却性能があることは明白だ。TDP140Wという発熱の大きいCore Xシリーズだからと少し不安になってしまったが、120mm×120mmのラジエーターでも問題なく冷却できていることが確認でき、安心した。