Wantedly(ウォンテッドリー)といえば、Facebookを活用した求人サービスで注目を集めている会社。聞いたことがある人やすでに会員登録している人も多いかと思います。3月某日、同社CEOの仲 暁子さんがMacユーザーであるということを聞きつけ、どのようにMacを使っているのかを取材してきました。
同社の沿革を見ると、前身となる会社が設立されたのが2010年で、この7年で会社の規模がかなり大きくなっており、現在のオフィスは東京・白金台。新しい企業らしく、打ち合わせスペースやインテリアなども一般企業とは異なる雰囲気です。オフィスに置いてある家具などは仲さんが中心になって選んだとのことでした。
現在Macユーザーである仲さんは、幼少時代からパソコンが家庭にある環境で育ったそうです。初代Macが登場した1984年生まれで、物心がついたころにはMacが自宅にあり、ペイントソフトなどを使って絵を描いていたとのこと。ちなみに、自宅でMacを使っていたのは母親で、父親はWindowsマシンという家庭だったとのこと。
高校時代は留学中に留学生同士のコミュニティーサイトの運営に携わり、大学ではフリーペーパーの立ち上げやウェブページ作成会社を設立するなど、学生時代からインターネットやソーシャルメディアに近い位置で活動していたそうです。
大学卒業後に入社したのはゴールドマン・サックス。金融や証券に強い興味があったわけではないとのことでしたが、「ハイレベルな人達と一緒に仕事をしてみたかった」とのこと。同社ではアナリストとして2年弱働いていたそうです。在職中にリーマンショックがあり、金融や証券のアップダウンの激しさも経験したそうです。
ゴールドマン・サックスではさすがにWindowsマシンがメインだったそうですが、そのあとに仲さんはMacユーザーに戻ることになります。次に入社したのが、Facebookの日本法人。当時の日本法人は立ち上げの時期で、マンションのような場所がオフィスで、スタッフも6人しかいない状態。ここでUI作成から雑用までをいろいろを経験したとのことでした。
しかし、Wantedlyのサイトで公開されている仲さんのプロフィールをよく見ると、2008年4月〜2010月1月までがゴールドマン・サックス、2010年7月〜2011年1月までがFacebookとなっています。転職するまでの半年間は何をしていたのでしょうか。
実はゴールドマン・サックスを辞めるのと前後してMac Proを購入したそうです。現在の円筒型のものではなく、Power Mac G5の流れを汲むタワー型のアルミの塊のようなボディーのMac Proのほうです。なぜMac Proを買ったのか。それは仲さんの幼いころからの夢だった漫画家になるための投資でした。仲さん曰く「漫画家になるためかなり真剣に取り組んだ」とのこと。
Facebookへの入社も漫画家を目指していたからこそ訪れた転機だったそうです。当時、マンガをネットに投稿していたことがFacebook関係者の目に留まり、Facebookの日本法人立ち上げ時期に誘われたとのことでした。ちなみに、Facebook入社後にも漫画は書き続けていたそうで、Wantedlyのサイト内にある仲さんのプロフィールページでは、「高円寺物語」というマンガと「おすしくん劇場」というアニメーションのリンクが張られています。
Facebookでの経験を経て、2011年9月にはWantedlyのβ版をリリース。約半年後の2012年2月に正式ローンチとなり、現在は利用企業が2万社超えるなど急成長しています。Wantedlyのプロトタイプは、仲さんがMacでRuby on Railsを使った開発したそうです。
仲さんが現在使っているマシンは、13インチのMacBook Pro。プライベートではMacBook Airも使っていたそうです。最近は、iPadなどのタブレットをビジネスで使うシーンもよく目にしますが、「メモリーを大量に積めて、複数のアプリケーションを素早く切り替えて使えるのでMacBook Proのほうが使いやすい」とのことでした。
Wantedlyのオフィスを見回してみると、仲さんだけでなくほかのスタッフが使っているパソコンも大半がMac。「私がMacを使っているということもありますが、Mac同士だとデータのやり取りも簡単なので自然と使う人が増えた」と仲さん。
そもそもビジネスで使うパソコン=Windowsマシンというのはここ20年ほどで生まれた事実上の標準であって、これからはMacがその役目を担ってもいいはず。仲さんは、世の中のルールを超えて物事を考えるという、アップルの共同創業者である故スティーブ・ジョブズ氏の姿勢にも共感しているそうで、仲さんをはじめとするWantedly自体がそれを実践している企業だと感じました。