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すごく“マトモ”になった! Apple Watch「watchOS 2」をチェックする

2015年10月12日 11時00分更新

文● 林 佑樹(@necamax)、編集●ハイサイ比嘉

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細かな改良をチェックしてみる

 watchOS 2の変更点は、新規文字盤とディベロッパー向けの機能追加が主になるが、細かい部分での改良も多い。

 新規に追加された機能を見ていこう。「ナイトスタンドモード」は、充電時にApple Watchを横にするとデジタル表示の文字盤が表示されるというもの。また、指定した時間になるとアラームが再生される。一定時間放置でスリープ状態に入ってしまうため、充電しながら作業時の時計として使うという運用はできない。アラームの時間になると画面が点灯する仕様だ。

ナイトスタンドモードにしたところ。出番のある環境とそうではない環境にすっぱり分かれそうだ

 返信機能を見てみると、メッセージだけでなく、メールでも返信が可能になった。定型文のほか、Siriさんからの入力も対応する。必然的に短文になってしまうので、ビジネス文化からすると使用シーンを選んでしまうが、親しい相手への返信用としてはお手軽でいい。また筆者の場合だと、仕事のメールも長くて3行程度で済ませているので、アップデート以降は活用している。TwitterのダイレクトメッセージやFacebookの「Message」も対応すると、さらによさそうな気配だ。

メールを開いた最下部に「返信」が追加されている。返信方法は定型文か顔文字、Siriさんによる音声入力。またメールの末尾には「Apple Watchから送信」と自動的に署名として追加される。この署名は「Watch」で変更可能だ

サイドボタンから使用できる「友達」機能はページの追加が可能になり、最大12人の制限がなくなっている。Digital Touchも機能強化されているのだが……もっとも使用していない機能(Apple Watchユーザーがそもそも少ない上、この機能を使用できないユーザーが一部いたため)なので、触れる必要はないと判断している。それよりも、サイドボタンに任意のアプリや機能を割り当てたいと考える人は多いのではないだろうか

 設定を見ると、地味な変更が目立つ。まず「ミュージック」のグランスは、watchOS 1ではボリュームの調整をタップで実行する必要があり、かつレスポンスが遅かったが、watchOS 2からはDigital Crownでボリューム調整が可能で、レスポンスもよくなっている。

 またApple Musicでの用途に合わせてか、お気に入り追加とライブラリボタンも追加されている。ライブラリボタンは、ライブラリにある曲の場合は削除、ない曲の場合は追加できるもので、表示も変化する。移動中のボリューム調整や曲送りに活用していた人は多いだろうから、この部分は地味ながら結構うれしいハズだ。

左はライブラリにある曲、右はライブラリにない曲を再生中のスクリーンショット。右下のアイコンの変化がわかるハズだ

 コントロールを見てみると、Air Playのアイコンが追加されている。ただ今のところ使用するルートを発見できていない。「ミュージック」側にBeat 1やApple Musicからランダムで音楽を再生するQuick Playが追加されているため、その関連のものだろうか。

iPhoneを呼び出すボタンの横にAir Playのアイコンが追加されている

 Siriさんを見ると、音声の入力レスポンスは各段によくなっている。そのため、さっさと音声でメモといったアクションには強くなった。アプリの起動や特定のワークアウト開始にも対応しているが、こちらはひどく時間がかかるため、実用的ではないだろう。体感的にはwatchOS 1時のアプリ起動待ちに近いものがある。

 ヘルスケア方面で見ると、サードパーティーアプリからのワークアウトデータがアクティビティリングに統合されるようになった点も大きいだろう。

 心拍センサー搭載で、防水性能を備えるApple Watch Sportsを“ロガー”として考える人は多いハズだし、筆者も実際に活用している。心拍センサーは、watchOS 2からサードパーティーアプリでも使用できるようになったため、Endomondoなどフィットネス系アプリが心拍数取得オプションを追加すると思われる。

 このほか、HomeKitで対応デバイスをSiriさんで操作したり、FaceTimeオーディオ通話が可能になったり、Apple PayとWalletの強化があったりしている。キャリアの対応必須となるが、iPhoneが近くにない場合でもWi-Fi通話をサポートしているとアップデート一覧にあり、いずれは使用範囲を広げていく姿勢も見える。

パスコードの入力画面も変更されている。watchOS 1のときよりもボタンが大きくなり、誤タップ率が大きく減らせる

iPhone上のApple Watch管理アプリ「Watch」

 iPhone側にインストールされているApple Watch管理アプリ「Watch」の項目にも変化がある。

 watchOS 2からアクティベーションロックを必要とするようになったこともあり、「行方不明としてマーク」を実行できるようになった。コンプリケーションに対応するサードパーティー製アプリがある場合は、その一覧も表示される。watchOS 2に合わせて、iPhone側Watchのわかりにくさも改善されるのかと思っていたが、グランスとコンプリケーション、アプリの設定が別々のままであり、使いにくい印象しかない。この点は今後に期待するほかないだろう。

「Watch」に追加された機能の一部。「ナイトスタンドモード」の設定はオンオフがあるのみだ

文字盤については残念だが、期待値は増した

 文字盤については、ビジュアル面の強化はあったものの、機能的な強化はタイムトラベルに留まった。スマートウォッチを目指すのなら、さらなるカスタマイズ性を期待したいところだが、Appleの判断としてはまだ早いということなのだろうか。もちろん、デザイン性の高い文字盤も増やしてほしいところではある。

 ディベロッパー向けの機能開放によるアプリの進化が今後の注目ポイントになるだろう。アプリの起動速度も向上しているため、ちょっとしたことはApple Watchに任せるといった運用も現実的なレベルになった。ただすぐに購入すべきかというと、やはり「NO」だ。自分が必要なアプリが出揃ったかどうかを見てからでも十分だろう。iPhoneに例えると、ようやくiPhone 3Gになった印象だ。

 Apple Watchをすでに使用している、もしくは眠らせているユーザーなら、watchOS 2のおかげで気になっていた部分はかなり解消されているので、迷わずアップデートするといい(ただし、完了するまでだいぶ時間が必要)。すごくマシになったと体感できるハズだ。


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