追加された文字盤とタイムトラベル
それでは、Watch OS2で強化されたOS標準の機能を見ていこう。Watch OS2前提のサードパーティー製アプリについては、ストアの動向次第で後日またチェックしたい。
まず、文字盤における機能的な追加は、実質的に「タイムトラベル」のみとなっている。タイムトラベルは、標準のコンプリケーションとして、日付と世界時計、カレンダー、日の出/日の入り、株価、天気、月の位相が用意されており、Digital Crownを回すと、前後の時間軸での状況がわかる。Digital Crown 1回転あたりの進行時間を調整できないため、1日先を見るのは面倒でしかないが、たとえば数時間先のカレンダーに入力した予定を知るぶんには便利だ。また天候を知りたい場合にも、グランスからアプリを立ち上げる場合よりも早く済む。
制約としては、カレンダーの情報をタイムトラベルでチェックしたい場合、「モジュラー」か「ユーティリティー」を選ぶ必要があるため、ビジュアル重視の文字盤では、天気や世界時計でお世話になるくらいだろうか。サードパーティー製アプリとして、たとえば乗換案内系アプリがタイムトラベルに対応してくれるなら、使用する機会は増えるだろう。このほか、変わった使い方を提案するアプリが登場するかもしれない。
追加された文字盤は「タイムラプス」「フォトアルバム」「写真」の3つ。いずれも機能性は皆無に等しく、端的にいえば写真が表示されるだけのものだ。まず「タイムラプス」は、表示時間に合わせたタイムラプスが表示されるもので、画面が表示された際は1秒ほどタイムラプス動画が再生される。カスタマイズを見ると、マック湖、ニューヨーク、香港、ロンドン、パリ、上海のタイムラプスが用意されているので、見て楽しめる文字盤だ。ただし、タイムトラベルには対応していない。
「フォトアルバム」「写真」は、どちらもiPhone内でお気に入りに設定した写真を表示させるもの。時計としては画面右上に日付と曜日、現在時間が表示されるだけで、表示情報のカスタマイズはできない。
さらに細かく見ると、「フォトアルバム」はお気に入り設定した画像が画面表示ごとに切り替わってランダム表示され、表示中に画面をタップすると、写真が切り替わる。
「写真」は、お気に入りの写真を1枚選んで表示するというもの。また「写真」は表示する部分を拡大できる。Apple Watch 38mmは解像度272×340ドット(48mmは312×390ドット)で、メインに表示したい人物や物が小さく写っていてもなんとかなるので、専用の写真を用意する必要性は低い。
時計の魅力は、文字盤の占める割合が多い。筆者は、watchOS 2に合わせて文字盤の機能が追加されるとみていたのだが、実際にはそうではなかったため、肩すかしを食らった感がある。「モジュラー」にマルチカラーとして9色追加されているものの、それじゃない感もある。これでApple Watchに見切りを付けた人がいる可能性は大だが、筆者はあの「Windows RT」と似た匂いを覚えたため、しばらく愛でていくつもりだ。
アプリの起動までの時間が大幅短縮
このほかwatchOS 2では、グランスのアプリ一覧からアプリを起動した場合の速度が高速化した。例えば、watchOS 1で「Endomondo」をグランスから立ち上げた場合、ワークアウトの開始が表示されるまで20〜30秒を必要としていたが、watchOS 2では3〜5秒と許せるレベルにまで短縮されている。ほかのアプリも同様だ。
またデータ同期速度は、「SysView」の更新間隔を見るに最短で2秒のままだ。アプリの起動の遅さから、インストールするアプリを絞っていたり、そもそもインストールしていなかったりしたユーザーは多いはずなので、アップデート後にチェックしてみるといいだろう。