レッツノート SZ5の魅力に迫る
何かが足りないという不安感を持たない全部入り仕様
それなのにこれだけ軽くて丈夫な本体
「機能を取るなら重い」の常識を打ち破る1台
「レッツノート SZ5」の特徴はやはり、ずば抜けて軽量であること。
これまでも携帯性、特に軽さにこだわったパソコンの開発にこだわりぬいてきたパナソニックだが、SZ5ではついに光学式ドライブ内蔵で約929gという水準を達成。12型クラスのモバイルノートでは光学式ドライブなしで、1㎏台半ばという機種が多い中、1㎏の大台をついに切ってきた形だ。
従来モデルの「レッツノート SX4」シリーズも、SSD/4セルモデルで1.2㎏以下の重量に抑え、光学式ドライブを内蔵したノートとしては圧倒的な軽さを誇っていた。しかしSZ5は、それよりも240g程度の軽量化を果たした計算になる。
10.1型でより小型の姉妹機「レッツノート RZ」シリーズは、最軽量の構成で700g台の軽さを実現。発売から1年が経過した現在でも孤高の存在と言える機種だが、レッツノート SZ5もまた、これに比類する製品が市場に存在しない、オンリーワンのノートと言えるだろう。
もちろん軽量であるだけではレッツノートとは言えない。
頑丈で、長時間駆動ができ、パフォーマンスに妥協せず、必要な端子類をフルサイズで揃えるなど拡張性も犠牲にしない。こうした何重もの要素がバランスよく組み合わされているからこそ、ビジネスの現場で信頼できる1台になりうる。特に頑丈性能に関しては、レッツノートのアイデンティティーとも言えるポイントだから、重要で手を抜けない部分だろう。
特に堅牢性については、象徴と言えるボンネット天板を継続。「レッツノート R1」が登場した2002年春以来、13年以上も進化を続けながら、統一したデザインを貫き通している点には脱帽だ。
堅牢性の秘密は「新ボンネット構造」
ではなぜSZ5は堅牢性と軽量さを両立できたか。レッツノートシリーズとして本体を軽量化するためのアプローチとしては、これまで大きく3点の取り組みがあったという。ひとつは筐体を覆う「素材を薄くする」こと、次に「体積を減らす」こと、最後に「素材を新しくする」ことだ。レッツノート SZ5では、このうちの最初の2つを採用した。
本体の薄肉化を進め、本体を覆う素材をレッツノート RZ4並みの最薄部0.4mmとしつつ、ボトムケースに柱に相当するビスとそれを補強するリブで支える構造を採用するなど従来機種のノウハウを導入。さらに低電力化し、発熱も減った第6世代Core iプロセッサー搭載という特徴を生かし、CPUのヒートパイプを削るなど地道な作業を加えて強度と軽量性を追求している。
さらに天板は偏肉と呼ばれる一部分だけ厚くして補強する仕組みを採用。
スリムタフボンネットと名付けられた従来モデルの天板でも偏肉は用いられていたが、薄型の本体を維持しつつ強度も確保できるようにするため、改善を加えている。天板を裏側から見ると、ボンネットの部分がごく浅く(0.2~0.3mm程度)へこんだ、すり鉢状(逆ドーム型)としたのがその一例。RZ4よりも一回り面積が広いSZ5の天板では、そのぶん上下のたわみも生じやすくなる。ふくらむなら最初からへこみを付けたらどうかという発想を原点に考えられたものだそうだ。
軽量化の秘密は「ドライブ構造」
軽量化のためのもうひとつ大きなポイントは、光学式ドライブだ。光学式ドライブはSX4のシェルドライブから、一般的な前に引き出されるトレー式に変更しているが、ここもカスタム品を使用している。
理由は2点あり、ひとつは周囲のカバーを取り外し、シャーシー部分も肉抜きするなどして軽量化していること、もうひとつが回転するディスクの下にメイン基板が入り込むよう、立体的に部品の位置を調整することで、フットプリント自体を減らすためだ。このあたりは汎用モジュールを仕入れるのではなく、独自設計だからできたポイント。関連会社でドライブ設計ができるパナソニックだからこそできたこととも言えそうだ。
これによりSX4では約295mmあった本体の幅が約283.5mmまで減っている。奥行きに関しては、SX4に軽量バッテリーパックを搭載した場合の約197.5mmに対して、約203.8mmとなるため、若干増えていると思うかもしれないが、SZ5は4セルのバッテリーパック(S)でも6セルのバッテリーパック(L)でもフットプリントが変わらないので、むしろ減っていると言えそうだ。さらに、液晶パネルのアスペクト比も16:9から16:10となり、一画面に表示できる情報量が増えたうえでの結果である点も強調したい。
このように見た目の上ではそれほど変化していないように見せながら、内部ではかなりダイナミックな変更を加え、軽量化につなげたのがレッツノート SZ5なのである。