9月9日(米国時間)に行なわれたAppleの新製品発表イベントでは、女性向けメディアと中国メディア関係者の姿が目立っていた。これは、Appleがどのターゲットに商品を買ってほしいのかという現れでもある。ターゲット層が読むであろうメディア関係者を招待すれば、Appleの意図する情報が伝わりやすくなるからだ。
iPhone 6sと6s Plusには新色「ローズゴールド」が加わったが、まさに女性をターゲットにした色展開だ。
FaceTimeカメラは従来の1.2メガピクセルから5メガピクセルに強化。Retina Flashも新設され、女子が大好きな「セルフィー需要」に応えている。最近では中国メーカーでもセルフィー関連機能を強化しているところが多いが、Appleとしても対抗せざるを得ないのだろう。
また、Apple Watchでは新しいバージョンとして高級ブランド「エルメス」モデルが加わった。アプリ配信ができるようになったApple TVでも、ファッション通販の「GILT」アプリが紹介された。どちらも、女性受けを狙ったとみて間違いない。
AppleとしてはiPhoneだけで満足している女性層に、Apple WatchやApple TVといった周辺デバイスまで購入してもらいたいのが本音としてありそうだ。
新型iPhoneの発売が延期になった理由とは?
ティム・クックCEOは「中国のスマートフォン市場はマイナス4%成長に対し、iPhoneは75%も成長している」と力説。中国でのiPhone人気がAppleを支えていることが改めて浮き彫りになった。
今回、発表されたiPhoneの対応周波数を見ると、いずれのモデルも中国最大のキャリアであるチャイナモバイルが使用している通信規格のTD-SCDMAに対応している。中古品として市場に流れる場合など、どこの国で売られてもチャイナモバイルで使えるようになる。
もうひとつ、本来であればiPhone 6s/6s Plusの発売日は9月18日という計画であった。日本のキャリア各社は18日発売で準備を進めていたが、直前になって25日に延期になった模様だ。
その理由はやはり中国だ。
中国市場での高い需要を満たすため、大量製造して在庫を貯めておくには日数がいる。間に合うのが25日だったようだが、18日に米国や日本で発売し、25日に中国というスケジュールも組めたはずだ。しかし、日本で中国よりも先に発売してしまったら、昨年のように中国人が大量にAppleストアに押しかけて、大行列をつくるとも限らない。
それでも在庫不足の可能性はあり得そうだ。日本のキャリア関係者は「中国に在庫を優先されて、日本に回ってくる数は少なくなるかもしれない。去年より入手は困難になるだろう」と心配していた。
いまや中国市場が大得意先となっているApple。しかしここ最近、中国経済がバブル崩壊しつつあるという話も聞く。
Appleを支える中国人の「爆買い」がいつまで続くのか。その運命は中国経済が握っているといっても良いだろう。