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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 ― 第34回

NHKはネット配信で生まれ変われるか

2008年09月16日 11時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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ようやく始まるネット配信


NHKオンデマンド
NHKオンデマンドのウェブサイト。同サイトの「NHKオンデマンドBLOG」ではNHKオンデマンドに関連する情報が6月から月1~2回の割合で公開されている

 NHKが12月からネット配信サービス「NHKオンデマンド」を開始することになり、それについての意見募集が開始された。放送法の実施基準の変更という分かりにくい形で、料金などは具体的に書かれていないが、朝日新聞によれば、「1時間番組が1本300円程度で、1ヵ月間に配信された番組すべてを見られるパックは、1500円程度」だという。

 BBCは昨年末、放送した番組を1週間後まで原則としてすべて無料でネット配信するサービス、iPlayerを開始し、半年で1億本以上の番組がダウンロードされた。NHKも、それから1年遅れで同様のサービスを開始するわけだが、この原案のままではiPlayerほどのインパクトはとても持ちえない。


なぜ「見逃し番組」まで有料なのか


 最大の問題は、BBCと違って有料サービスだということだ。昔の番組を配信する「特選ライブラリー」はまだ分かるが、「見逃し番組」をネットで見るのになぜ追加料金が必要なのか。強制的に受信料を取られている視聴者には、すべての番組を見る権利があり、BBCのように無料で提供するのが当然だ。

 配信コストがかかるというが、予算はわずか20億円と、受信料収入の0.3%だ。かねてからNHKは、「2割値下げしろ」という圧力を自民党から受けている。「値下げする代わりにネット配信を無料にします」といえば、彼らも納得するだろう。受信料を払っているかどうかをIDで認証すれば、増収になる可能性もある。それなのに、HDDレコーダーで無料で録画できる番組を1本300円も出して見る視聴者がどれだけいるかは疑問だ。

 しかも配信する番組は1日20本だけで、2009年度の会員の目標はたった19万人。これは「無料配信は民業圧迫だ」という民放連の批判に配慮したものだが、民放はどこも本格的なネット配信をやっていない。むしろ衛星放送のようにNHKが思い切ってネット配信に投資すれば、ビジネスが広がるだろう。それなのにわざわざ敷居を高くして小規模のサービスにするのは、視聴者より民放の既得権に配慮したといわれても仕方ない。

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