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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 ― 第144回

電波を政治的な取引に使う総務省と民放とNTTドコモ

2011年09月22日 12時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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借り手のない賃貸マンションを大家が借りる

 9月6日、ちょっと奇妙なニュースが報じられた。総務省は、VHF帯を利用するマルチメディア放送の移動受信用地上基幹放送(ソフト事業者)の申請受付結果を発表したが、13チャンネルに対して、申請がNTTドコモの子会社であるmmbi1社だけだったのだ。mmbiは、マルチメディア放送のプラットフォームを提供している業者であり、これは賃貸マンションの店子を募集したら誰も借りないため、大家が13部屋をすべて借りるようなものだ。

 こういう失敗は、予想された通りだ。以前のコラムでも紹介したように、もともとVHF帯には多くの免許申請があったのだが、総務省が「一本化工作」を行なって民放グループに絞り込んだ。ところが外資系のクアルコムだけが一本化工作に応じず、最後まで民放連とクアルコムが残ってしまった。

 クアルコムの「MediaFLO」というサービスには実績があったが、民放連には実績も技術もないため、総務省は民放グループにドコモを入れて外資を排除しようとした。このとき2.5GHz帯の美人投票でドコモを落とし、代わりにVHF帯を与える密約が結ばれ、「美人投票」ではウィルコムがドコモより「財務的基礎が充実している」という驚くべき評価が行なわれた。そのウィルコムは経営が破綻して、ソフトバンクに買収された。

 それでもクアルコムはKDDIと組んで最後まで粘り、民主党からは「周波数オークションで決めろ」という声も強かったが、総務省はこれを押し切って電波監理審議会でmmbiに決めた。密約でVHF帯はドコモに与えることが決まっている以上、これ以外の結論はもともとありえなかったのだ。

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