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池田信夫の「サイバーリバタリアン」第36回

光ファイバーは本当に必要なのか?

2008年09月30日 09時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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FTTHのメリットがわからない

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 今月発表された総務省の統計(関連サイト)によれば、6月末でFTTH(光ファイバー)の契約数が1300万件を超え、初めてDSL(デジタル加入者線)を上回った。その要因はいろいろあるが、最大の理由はNTTのしつこい電話営業だろう。わが家にも、20回は電話が来た。

 1度は根負けして契約することにし、工事の人が来たのだが、配線が壁に埋め込まれていて工事ができなかった。ところが先週、また電話がかかってきた。経緯を説明すると、「エアコンのダクトを通して工事できる」と食い下がる。「そこまでして光ファイバーはいらない」というと、「お客さん、もう光のほうがDSLより多いんですよ」という。

 「そんなこと私には関係ない。だいたいFTTHは100Mbps出るといっても8分岐だから、50MbpsのADSLと実効速度は大して変わらないでしょ」と私がいうと、「お宅は電話局から870mだから、5~10Mbpsしか出てない」という。局舎からの距離まで知っているのには驚いたが、「何か光じゃないとできないことあるの?」というと、「フレッツ・テレビで地デジも見られます」という。「うちはテレビは見ないので、DSLより安くなったら考えます」と断った。実測してみると、17Mbps出ていた。



NTTの営業には無理がある


 NTTの5000円台というFTTH料金は世界一安く、売れば売るほど赤字だ。それでも激しく営業するのは、東京の都心ではすでに(光ファイバーを分岐する)スプリッターが全域に配備されているので、8分岐をすべて使い切らないと設備投資を回収できないからだ。最終的には銅線を完全に巻き取って光だけにすれば、局側の設備も大幅に簡素化され、光は減衰が少ないので電話局を減らすこともできる。

 しかし、この方針には無理がある。強制的に設備を更新できないので、加入者がすべてFTTHに替えてくれなければ、いつまでも光と銅線の二重設備を続けざるをえない。携帯電話のように買い換えサイクルが短いと、第2世代を巻き取ることもできるが、FTTHはDSLとほとんど違いがなく、料金も高い。ダビング10などでアナログより不便な地デジは、とても「キラー・コンテンツ」にはならない。

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