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CES 2017レポート第1回

対応スマートロックの実機展示も

日本のIoTプラットフォームが世界へ、さくらインターネットが発表

2017年01月04日 22時00分更新

文● イトー / Tamotsu Ito

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 さくらインターネットは1月3日(現地時間)、テクノロジー見本市「International CES 2017」の会期に合わせて発表会を開催。2015年後半から取り組んでいる、IoT製品の通信機能とデータ保全を簡便化するプラットフォーム「さくらのIoT Platform」の世界展開を開始すると発表した。
 世界対応版モジュールは、2017年秋頃のリリースを予定する(国内向けの「製品版」は2017年春を予定)。気になる価格については、現状の国内版価格に近い50ドル前後を想定しているという。CES2017のブースでは、実動するパートナー製品の展示も行う。

冒頭に登壇したさくらインターネットの田中邦裕社長。IoT向け通信モジュールは大手通信キャリアが参入しても良さそうだが、ざっくり計算で「1機器月額50円として1億台普及して月額50億、年間600億」(田中社長)というビジネス規模は、リスクも勘案するとキャリアの水準と合わないため、なかなか参入に至らないと語る。

 さくらのIoT Platformの特徴は、既存のIoTプラットフォームが"IoT製品からデータを取得した後の処理」が中心だったのに対して、「通信手段」(LTEモジュールなどのハードウェア)と「安全な通信経路」まで含めて1パッケージで提供することにある。

 具体的には、現在β版をリリースしている国内版については、Cerevoと共同開発した通信モジュール単体でキャンペーン価格4980円(税別/2017年1月10日まで)という安価な導入コスト、一定の通信費用込みで月額100円という極めて低廉な月額通信費になっている。

 同通信モジュールは、IoT向けの超低消費電力規格「カテゴリー1」に対応しており、「カテゴリー1対応LTEモジュールなら、1万mAh程度バッテリーでも月に一度LTE網につなぐような用途なら約10年間通信できる」(田中社長)。ハードだけを提供するのではなく、通信網だけを提供するのでもない、”通信に関する部分を丸ごと”提供することによって、安全な通信・安価なコスト・開発しやすさを武器に、普及を図ろうというのが狙いだ。

■さくらのIoT Platformの世界展開でスタートアップのものづくりをどう変えるか?

 さくらのIoT Platformが描く世界展開のイメージは、端的にいえば、”さくらがIoT開発企業の通信部分の悩みをそっくり肩代わりする”というもの。なかなかユニークだ。
 つまり、モジュールが世界対応になるということは、平たく言えば日本のみならず、アメリカやアジアの企業であっても、仕向地ごとの通信のローカライズや認証の取得を考える必要がなくなるということだ。
 手元資金を効率よくまわしていかなければいけないのは、全世界のスタートアップ企業に共通の鉄則。特定地域でビジネスモデルが一定の成功を収めたら、すぐに海外進出もできるという敷居の低さは、いわゆるスタートアップ企業にとっても、大企業の社内スタートアップにとっても、大きなメリットになり得る。

 国内でのα版→β版開発で得たフィードバックから、従来の1個からの販売、90個以上でのドライパック梱包に加えて、基板を自由に形を変えて設計できるハードウェアライセンスモデルの提供も行う。

ハードウェアスタートアップがIoTに参入しようとすると、ただデータをやり取りしたいだけなのに通信する仕組みを作る苦労が多すぎる。さくらのIoT Platformはその課題を解決する環境として、開発が進んでいる(写真はIoT事業推進室 室長山口亮介氏)
さくらのIoT Platformの通信モジュールには、LTE版以外にも2.4GHzの無線を使うもの、920MHz帯で数キロ飛ばせるLoRa規格を使うものも開発中。すべて基板間コネクタは共通のため、IoT製品からモジュールを差し替えるだけで別の電波方式を使う製品を開発できる。

パートナー企業tsumugの海外向けスマートロック「TiNK」

 パートナー企業として紹介されたtsumugは、2016年5月にも、不動産業者向けのスマートロック「Sharing Key」を発表している。今回のスマートロックはそれとはコンセプトがまったく違うものだ。(「Sharing Key」の記事はコチラから)
 「Sharing Key」はキーシリンダーを交換する方式で単価も抑える方向性だったが、「TiNK」は高級マンションや一般住宅などの用途を狙っている。

指紋認証で解錠しているところ。親指の部分(ハンドルの支点部分)に指紋センサーを内蔵している。
iPhone7でロック解除するところ。画面上ではSuicaが反応している(左)。手書きジェスチャーは、デモでは「ハートの形を描くとロック解除」というように設定されていた。描く起点も見ているので、形を似せただけでは解錠しないとのこと。
内鍵側。動作時に光るインジケーターが付いていた(左)。TiNKの製品コンセプトを説明するtsumugのCEOの牧田恵里氏(右)。

 内蔵するセンサー類もリッチで、指先で絵を描くことでロック解除するジェスチャー認識、顔認識、NFC、指紋認証をそれぞれ搭載。
 参考出展のためあくまでプロトタイプだが、いずれのセンサーについても実働していた。NFCのセンサーはユニークで、反応するものであればどのカードでも登録できるという。たとえば既存の社員証のようなものでもOKだし、iPhone やApplePayもキー代わりに登録できる。

 さくらのIoT Platformは、遠隔での解錠といったLTE通信と、顔認識などの特徴データの保存・読み出し先として使われる。バッテリーやモーター駆動系は「Sharing Key」とは逆の内鍵側に設置。バッテリーの方式については、一般的な電池か、リチウムイオンなどの二次電池にするか検討中という。

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