テンションの低いスタートアップ
―― その間、コルグ側で「だったら岡宮さんと佐野さん抜きで単独でやってやろう」みたいな話にはならなかったんですか?
井上 ニンテンドーDSのタイトルとして全部ということですか? それは思わなかったですね。
佐野 僕の印象としてはですね、コルグさんにM1の話を持っていったときに、井上さんがかなりやる気ない感じだったのは覚えてますよ。プログラマー目線から言うと、DS-10の時はチャレンジャブルな感じだったけど、「別にできますけどー」みたいな。
井上 いや、それはプログラマー目線ではなくてですね。「えーっ、GM音源的なものですかー? スーパーマーケットですかー?」※みたいな。でも、やる前は……。
※ スーパーマーケットの店内でBGMとしてかかっている、インストのカバー曲は、多くがGM音源で制作されている。
佐野 ひょひょいのひょいと!
井上 できると思っていたんですけど、間違ってました。プログラム的にはやってみたらきつかった……。
佐野 ともかく両方の理由で「いいねいいね!」っていう感じじゃなかったんですね。だからDS-10の時とは、そういう意味では違うんです。
―― このテンションでゴーサインを出したのはどういう理由ですか。
佐藤 僕はやるのが当然だと思っていたんですよ。岡宮さんと佐野さんと一緒に仕事するの楽しいですし。
井上 確かに最初はローテンションだったんですけど、実際の音が出てきてからは、もう全然。後でそういう話になると思いますけど、コンセプトが明快になると、僕も俄然やる気になりましたね。