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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 ― 第33回

あなたの声で歌うソフト「UTAU」の奇妙な世界

2010年08月14日 12時00分更新

文● 四本淑三

だから楽器じゃないんです、仲間なんです

―― 技術的な部分以外の特殊性ってありますか?

飴屋 DTMマガジンで連載されていた大須賀淳さんが企画した「UTAUフェスティバル」ですね。そこで流れが変わりましたね。

UTAUフェスティバル : UTAUを中心とした夏のイベント。公式サイトはこちら

UTAUフェスティバル

飴屋 地方から来られた方もいて、もう大規模なオフ会ですよね。それまではバラバラでやっていたんですが、コラボがたくさんできるようになった。藤本萌々子さんが海外に行っちゃうので、送別会に人がすごく集まったりとか。そういう「界隈」になりましたね。

―― たとえば「ボカロ界隈」ならPや、絵師さん、作詞の人なんかがいるわけですが、そこにUTAUは「中の人」もいるわけですよね?

飴屋 そうですね、中の人と近いんですよ。今はもうみんな知り合いです。

―― 歌声合成ソフトは普通「音源」として見なされているわけですが、その音源が自分の足で歩いてやって来るなんて、僕は想像できないんですけど。

飴屋 言われてみれば普通じゃあり得ないことかも知れないですね。

―― 何なんでしょう、これ。

飴屋 バンドをやっている感覚なのかも知れません。

―― あーっ、なるほど!

飴屋 だから楽器じゃないんです、仲間なんです。声を提供してもらって、みんなで音楽を作っているという。実際には、音源を作った本人ではなく、その人が作った声のキャラを歌わせているという感覚なんです。音源のキャラを描く絵描きさんもいますし。

―― 商業が絡むとそこら辺は垣根で囲われるわけですが、UTAUを通して独自の文化が成立してしまったわけですね。

飴屋 一度twitterで書いたことがあるけど、それは私も感じました。もう「UTAU」という言葉は、歌声合成ツールUTAUだけのものじゃなくて、UTAUという文化として、皆のものになってしまったんじゃないか。そういう感覚はあります。

―― もしボーカロイドと比べる点があるとしたらそこですね。なんか歌声合成とか技術的な話はどうでもいい気がしてきました。

飴屋 私の立ち位置はまさにそこです。今日は話ができて良かった。私も考えが整理できたし。

―― 僕も目からウロコでした。本当にありがとうございました。



著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。


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