プログラミング中は息苦しいが「生きてるな~」
―― では、プライベートでソフト開発しているときは、もう楽しくて仕方ないという感じですか?
ちとら ええとですね、息が苦しくなります(笑) 私のソフト開発は、まず骨組みを作って、そこからプログラムを組んで試用と推敲を繰り返すという流れですが、複雑なロジックを考えているときに息を止める癖があるみたいなんですよ。
ロジックを作るときはすごく神経を使うので、やっぱり疲れますね。ただ、自分の思い通りの機能が実現した際の喜びはこたえられないです。さらに推敲を重ねて、複雑な処理がすごく短いプログラムで実現したときは、「生きてるな~」と悦に浸れるんですよ。
逆に、仕事中は死んでいますね。(笑) 仕事のプログラミングは仕様が決まっているので、自由なことができないんですよ。そういうストレス解消のためにフリーソフトを作っているという側面もありますね。
―― なるほど。でも、その後のメンテナンスは負担になりませんか? Lhazはちとらさんのサイトで10年もサポートを続けているわけですが。
ちとら 正直なところ、サポート掲示板はそんなに頻繁に見ていないんですよ。書き込みがあればケータイとPCでメール受信する設定にしていますが、意欲があるときにまとめて処理する感じです。だから、やる気が沈んでいるときはほとんどレスポンスしませんね。
―― サーバーがダウンしたり、ソフトの不具合が発見されたなど、緊急の対応に迫られたときはありますか?
ちとら 一回だけあります。掲示板経由ではないのですが、2007年8月にIT系ニュースサイトでLhazの脆弱性を指摘するニュースが報じられたんです。Lhazで解凍後にPCを乗っ取るようなマルウェアが発生したわけですが、あれは即日対応しました。仕事中にニュースを知ったので、もう「どうしよう、どうしよう、早く帰りたい」という気分になって、本当に浮き足立ちました。
脆弱性の問題が発覚したのは「Lhaz Ver.1.33」以前のバージョンです。対応後の「Ver.1.34」以降は問題をクリアしているので、旧バージョンを使っている人がいたら、すぐに最新バージョンに変えてください。
―― そうした問題が発生すると、フリーソフトなのに社会的な責任みたいなものが出てきますね。それ以降、意識が変わった部分がありますか?
ちとら 特に脆弱性や異常系に注意してコーディングするようになりましたね。幸い、それ以降は大きなトラブルなくやれているので、根本的なモチベーションに影響を与えたということはありません。
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