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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第27回

100万のサイトを5つ作る、すごい引きこもり美人

2008年06月23日 11時00分更新

文● 古田雄介

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 「日本珍スポット100景」は、ひなびた観光地やトンデモ系の施設といった全国のB級スポットを紹介する人気サイトだ。紹介しているすべての場所は、管理人の麻理さんが現地取材しており、その累計は300以上に及ぶ。

 しかし、麻理さんの活動はそれだけではない。レトロな外装の品々を紹介し、自作レポートも行なう「スチームパンク大百科」や、デジタル加工を施した合成写真の投稿サイト「合成館」など、並行して運営しているサイトは20件以上に及ぶ。しかも、100万アクセスを超えるサイトをすでに5個持っているという。

 一体どんな方法を使えば、これほど多彩で人気のあるサイトを続けることができるのだろうか。インタビューを通して分かったのは、サイトに人を呼ぶ極意。そして、麻理さんが只者ではないということだった。

日本珍スポット100景

 夢のお告げで個人が始めた奇抜な博物館から、性器のモチーフを祭る豊年祭まで、全国の珍スポットを紹介している。単に表層の珍奇さを愛でるだけでなく、由来や周辺情報を散りばめたレポートの評価は高く、同種のサイトでは別格の支持を集めている。運営開始は2006年元旦からだが、学生時代に珍スポット日本1周を2回達成するなど、以前から珍スポットの造詣を深めていた。




3、4日かけて毎日10ヵ所ずつ回る


── サイトでは、自治体の施設から個人宅の延長のようなものまで、幅広く扱っていますが、麻理さんのなかで珍スポットの定義というのはあるんですか?

昇仙峡 宝石園

昇仙峡 宝石園。脱力した雰囲気が何とも心地良い施設だった

麻理 大きく3つに分けています。まず、町おこしや村おこしなど、自治体や第三セクターが運営しているような「オコシ系」ですね。もうひとつは「オヤジ系」。一家のお父さんやおじいさんがある日、夢のお告げを受けたりして、急に全財産を投じて作ったような施設です。あとは、「マジメ系」。例えば、明治大学博物館(拷問器具の展示品で一部に有名な博物館)や、寄生虫博物館など、研究者からみると有意義な施設なんですけど、一般人からみるとちょっと逸脱している感じがするところですね。

 もちろん、それぞれが混ざり合っていることもあって、「オコシ系」と「オヤジ系」のハイブリッド型もよく見かけます。中には、3要素すべてを満たした「昇仙峡 宝石園」もありましたが、これは閉鎖してしまいました。

五十嵐麻理さん

五十嵐麻理さん。よく珍スポットのベスト3を聞かれるが、「本気で答えると放送や掲載ができないものになるので、最近は控えています」と語る。手に持っているのは、Mac純正キーボードをスチームパンク風に改造した力作だ


── なるほど。ちなみに、現在300以上の珍スポットを載せていますが、これだけ紹介するとネタ切れとか起きませんか?

麻理 それはないですね。珍スポット日本一周をしたストックがありますし、今もだいたい2ヵ月に1回くらいのペースで3、4日かけて毎日10ヵ所ずつ回るみたいな取材をやっていますから。1000件くらいまではいけると思います。ただ、ここ数年で閉鎖が相次いでいるので、そこは心配しているんですよ。


── やっぱり、日本の景気と関係するんですかね。

麻理 それもありますね。閉鎖にはいくつかの要因があると思うんですよ。オーナーさんが高齢化していたり、観光地が一極集中する傾向にあるとか。

 前まで「オコシ系」のベストワンに挙げていたのが、三重県の「元祖国際秘宝館」だったんですけど、2007年の4月に閉鎖してしまって、それはちょっと残念でしたね。

 秘宝館自体もかつては全国に40ヵ所以上あったと言われていますが、今は10ヵ所あるかないかくらい。今の時代に合わないというのはあるんでしょうけどね……。

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