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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第3回

「日本は本当に広い」──“廃道”に人生を捧げるマンネリ知らずの管理人

2007年07月23日 18時00分更新

文● 古田雄介

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「廃道歩きは、トレッキングをするくらいの準備で楽しめる」


── 過去の記事を読むと“田代隧道”など、かなり危険なところにも行っていますよね。そういう体験をすると、過激な方向へチャレンジ精神が向きませんか?

平沼 そんなことはないですよ。廃道歩きは、そもそも誰もが気軽にできるものです。登山や釣りなら、技術や道具が必要になりますが、廃道なら普段着のままでテクテク入っていけるし、危なくなったらそこで引き返せばいい。トレッキングをするくらいの準備で、十分楽しめます。照明のない廃隧道に入るにときに、ライトが必要なくらいですか。

 難しいレポートを見ると、“突破する”という意識が強いように見えますけど、廃道歩きは“探す”のがメインなんですよ。消えかけているモノを探して歩くという、静かな探求なんですよね。


── それでも、読者が過激さを求めるというのはありますか?

平沼 それはありますね。また、誰もネットに上げていない景色を自分が先に見たいという思いもあります。誰かがレポした場所よりは、崖があるから行けない、崩れているから行けない、というような険しい道に自然と目は行きますね。

ロゴシール

山行がで販売している、サイトのロゴシール。不定期でデザインを変更している。「廃道でロゴを貼った人に出会ったら嬉しいですね。まだ実現したことはないですが…」(平沼氏)とのこと



廃道を歩くなら、グレーゾーンだと自覚するべき


── なお、たまに地図がぼかされている記事がありますが、クレームは結構多いのでしょうか?

平沼 やっていくうちに分かったんですけど、人が住んでいる場所の近くの廃道を取り上げるのは、やはり近隣の人がナーバスになります。暴走族のたまり場になったり、心霊スポットと言われるのは誰でも嫌ですからね。ただ、そこに道があったのは事実なので、僕はできるかぎり実名で紹介したい。不快だという声を頂いたら、地図を削除したりボカしたりします。

 廃墟や廃線もそうですが、廃道も突き詰めていけば法律的にグレーゾーンの趣味といえます。だから、周囲に迷惑をかけないように、普段以上に心がけないといけません。とにかく事故に遭わない、ゴミを捨てない。その道路の管理者に迷惑を掛けないことです。


── 最後に。少し前に廃墟ブームが到来しましたが、その延長として廃道ブームが来たという感触はありますか?

平沼 ゆっくりと人気が集まっている感じはしますが、ブームというほど沸騰していないですね。昔は「廃墟と廃線は知っているけど、廃道って何それ」という感じでしたが、いくらか認知された感触です。“廃”関連共通の良さというのはあって、斜陽化したものに引かれる人は多いと思います。廃線にしろ廃道にしろ、同じような趣味は、今後もニッチな状態で残り続けると思います。


筆者紹介──古田雄介


建設現場と葬儀業を経てデジタル&サブカルライターに転身。デジタルと言いつつ、“古田雄介の週末アキバPick UP!”(ITmedia)など、足で稼ぐ記事が多い。当連載では、大好きなサイトの管理人さんに直接会える喜びを堪能しています。自ブログは“古田雄介のブログ”。



*次回は7月23日掲載予定

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