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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第5回

「2ちゃんに育ててもらった」──管理人が語る“2NN”運営への情熱

2007年08月20日 19時08分更新

文● 古田雄介

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 メディアや国会で“インターネットの巨大掲示板”と呼ばれ、 1000万人以上のユーザーを抱えているとも言われる“2ちゃんねる”。サイト内には多岐に渡る“板”(ジャンル)を設けており、日々、膨大な数の“スレッド”(トピック)が生まれて、誰かのコメントが追加されていく。

 ただし、2ちゃんねるは情報量があまりに多いため、慣れていないと興味のあるスレッドにたどり着くのは難しい。そんな混沌とした世界なので、2ちゃんねるとは別に、そこで生まれた情報を整理して提供してくれるウェブサイトやブログも次々と登場してきている。

 今回紹介する“2ちゃんねるニュース速報+ナビ”(2NN)もそのひとつだ。2ちゃんねるの中でも人気が高いニュース系の板を自動解析し、書き込み頻度の高い順にスレッドをランキングで表示してくれるサイトだ。

 リアルタイムで盛り上がっているスレッドが即座に把握できるという便利さがウケている。現在では1日に約5万人のユニークユーザーが集い、ページビューは1ヵ月で1500万を超えるようになった。

 2NNのキモはスレッドを取得する緻密なプログラムにあるが、何とサイトを構築した管理人は、プログラミングの知識がほぼゼロの状態から開発を始めたという。“顔が見えるインターネット”第5回のお相手は、「ネットを覚えたのがWindows XPが出た頃。ネットに触れた瞬間に2ちゃんねるにハマりました」と話す2NN管理人・中島氏だ。

2ちゃんねるニュース速報+ナビ(2NN)

ニュース速報+”板の人気スレッドを紹介するところから始まった、ニュース系板(+板)の窓口サイト。現在は“芸スポ速報+”や“ビジネスニュース+”など、計10板のスレッドに対応している。“にー・えぬ・えぬ”と呼ぶ人も多いというが、正式な読み方は“ツーエヌエヌ”。2ちゃんねるの公式サイトにもなっている。




「僕の思っていた世界と違う」と2ちゃんに感動


── 2ちゃんねるに興味を持ったきっかけを教えてください。

中島 僕の父親、元朝日新聞記者なんですよ(笑)。朝日新聞の家庭で育ったので、朝日的な考え方が何となく染み込んでいました。

 ネットを始めてすぐに2ちゃんを見たんですが、新鮮なショックを受けましたね。「僕の思っていた世界と違う」と。それはネガティブではなく、ポシティブなショックだったんです。こういう価値観があるのは面白いなと。

 朝日が言ってることはおおよそ正しいんだと思っていましたから、ある意味情報のバランスが取れましたね。そのせいか、最近父親と酒を飲むと、よくバトルになります(笑)。まあ、朝日というよりも、団塊の世代との考え方の違いかもしれませんが。


── そこから2NNの構想を練ったのですか?

中島 いえ、最初は“2NEXT”というサイトを運営していました。今は2ちゃんねるのまとめサイトやブログなどが結構たくさんありますが、その走りみたいな内容でしたね。

 ページビューが100万に達して、そこそこ人気を得たのですが、手動更新だったので、途中で更新に疲れてきたんですんです。それでサイトを閉鎖して、プログラミングで何かできないかなと考えましたね。2003年頃だったと思います。

 ちなみに、2004年に(株)ツーネクストというウェブ制作会社を設立したんですが、社名はこの前身サイトからとっています。


── 当時、プログラミングの経験はありましたか?

中島 いえ、ほとんど。昔飲食店でバイトしていたとき、Excelを使った資材管理を任されて、そこで初めてパソコンに触れました。それからExcelが楽しくてしょうがなくなりまして。「こういうふうに関数を書くと自動で表ができるのか」とか。

 関数はプログラムと共通した部分が多いと思うんです。だから、素質的にはプログラマーに向いていたのかもしれません。

 2NNの構想を思い付いてから、Perl(プログラミング言語のひとつ)を本格的に勉強し始めましたね。プログラムの知識はなく、イチから覚えていった感じです。2ちゃんねるでもたくさん質問しましたよ。もちろん、空気を読んで(笑)。

 技術系の板などでは本当にお世話になりました。今の自分は2ちゃんねるに育ててもらったといっても過言ではないです。

中島さん

2NN+の管理人・中島 竜馬氏。自身の会社である(株)ツーネクストの前で撮影


(次ページに続く)

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