このページの本文へ

MARKETING 週刊デジタルマーケティング最前線 by D2Cスマイル ― 第4回 

スマホ時代の追跡技術「デバイスフィンガープリンティング」

文●D2Cスマイル

2014年08月12日 11時00分更新

記事提供:D2Cスマイル

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

 スマホは広告配信の際、PCとは違いアプリという存在があるため、トラッキングが複雑なデバイスです。特にユーザーがウェブからアプリへ遷移する際のアプリの広告効果測定が難しいといった現状があります。このような課題に対応する技術も開発されてきているので、今回、まとめてみたいと思います。

現状の課題

 現在、スマホ・PC共にリターゲティング広告が多く利用されています。スマホにおいてはトラッキングの問題により、リターゲティングが可能な広告在庫数が伸び悩む可能性があります。また、コンバージョンの計測のために、リダイレクトなどの遷移によりブラウザーが立ち上がる事でCVRの低下も可能性として挙げられます。

現状課題想定影響範囲
CVトラッキング時、リダイレクトさせてブラウザーを立ち上げる遷移増加によるCVR低下プロモーション効率の低下
スマホのウェブ、アプリ間トラッキングトラッキングできないウェブ-アプリ間のトラッキング、リターゲティング・リワード広告ができない
3rd Party Cookieによるブラウザー上のウェブトラッキング「Do Not Track」規制自社保有データ以外でのターゲティング広告

課題解決技術

 課題を解決する技術は複数ありますが、データプライバシーの観点で、採用を考えられる選択肢は少ない状況です。広告主単独では1st Party Cookieを蓄積していくことは、とても時間やコストがかかるため、デバイスフィンガープリンティングが注目されています。

課題解決技術技術内容
デバイスフィンガープリンティング個人情報を除いたパラメーターを端末から取得。取得したデータにより一意の端末を推定したID発行
Super Cookieサーバー側で発行したブラウザー認識IDをEtagとして送出し、対象ブラウザーキャッシュを保存。ユーザーコントロールできないCookieのため、プライバシー上問題がある

デバイスフィンガープリンティングとは?

 デバイスフィンガープリンティングとは,Cookieや端末固有のIDを一切使わずにIDに相当する値を生成する手法です。通信時に取得可能なパラメータを組み合わせることで端末を識別します。パラメータの数を増やすことで,識別の精度が向上していく仕組みです。

d2c-04-1.jpg
引用『Cookieに依存せずにターゲティングを可能にする「AdTruth」、その技術はウェブとアプリをどう変えるのか(MarkeZine)』

デバイスフィンガープリンティング技術活用及び提供企業

 米国でデバイスフィンガープリンティングを実装するトラッキングツールベンダー(表のNo.3〜5)は、デバイスフィンガープリンティング技術のみの単独提供はしておらず、効果計測ツール内の一機能として実装されています。

No.企業名企業背景提供プロダクト対象デバイスデバイス推定用収集データ
1 Experian オンライン詐欺防止のセキュリティ技術がベース Adtruth PC、スマホ ・デバイスパラメーター
・HTTPヘッダー
・他100個強のパラメーター
2 株式会社Overtex(日本国内) Twitterへのつぶやき成果報酬型広告(つあど)からスタート ソエンドのみ(成果報酬型広告) PC、スマホ ・ユーザーエージェント
・IPアドレス
3 Has offers(米国) アフィリエイトトラッキングと構築がベース mobile app tracking(モバイル広告効果測定ツール) スマホ ・ヘッダー・データ・ポイント(HTTPヘッダー)
・MACアドレス
・ODIN
・OpenUDID
・TrusteTPID
・UDIDは収集廃止予定
4 Apps Flyer(米国) スマートフォンアプリ効果測定がベース。スマホ業界でデバイスフィンガープリンティングを利用した最初の企業 Apps Flyer(モバイル広告効果測定ツール) スマホ ・Android→GooglePlayリファラパラメーター、IDなど
・iOS(NativeTrackとして特許出願中)→デバイス、トラフィック、プロファイル、キャリア、アプリなど
5 Kochava(米国) スマートフォンアプリ効果測定がベース Kochava(モバイル広告効果測定ツール) スマホ ・UDID(iOS6以前)
・IDFA
・IDFV
・ODIN
・OpenUDID
・SecureUDID
・MACアドレス

デバイスフィンガープリンティングの不完全さ

 良い事が多そうなデバイスフィンガープリンティングですが、利用時には以下のような問題もあるのが現状です。

1.「特定」ではなく、あくまで「推定」である
 プライバシー保護の観点もあり、ユーザーを特定する事は、当該技術を用いた手法では、日本国内では難しい状況です。また、Cookieを利用せずにデバイスを推定するためには、Cookieに代わる大量のデータを取得する必要があります。

2.時間が経つと識別が困難
 OSのバージョンアップなど,利用している端末のパラメータは時間と共に変化していくので,時間が経つほど識別が困難になる。

 今後は、推定技術も取り入れながらトラッキングを実施していく方向性になると思います。しかし、データを活用したマーケティングを実行する際は、今後ブラウザーの「do not track」問題なども控えているため他社に頼った形でのデータ利活用は控えつつ、自社サイト及びサービスでユーザーに行動してもらえるような仕組みづくりがより一層必要になるのではないかと思います。

著者写真

株式会社D2Cが運営するデジタルマーケティングの総合オピニオンサイト。D2C社員がそれぞれの専門分野における知見をブログ形式で発信することで、トレンドシフトのはやいデジタルマーケティングの今を集約し、マーケティングに関わるすべての方々に有益な情報をお届けします。


Web Professionalトップへ

この連載の記事

一覧へ
Web Professionalトップページバナー

この記事の編集者は以下の記事をオススメしています

ASCII.jp会員サービス 週刊Web Professional登録

Webディレクター江口明日香が行く