このページの本文へ

「とりあえずSNS」にならないためのプランニング術

2014年11月18日 11時00分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

 突然ですが、セールスプロモーションやブランド戦略のプランニングを経験したことがある人なら、一度はこんな声を耳にしたことはないでしょうか?

「“とりあえず”この企画もfacebookとtwitterで拡散させましょう!」

 なぜ“とりあえず”SNSを絡めるスタンスがNGなのかを、事例とあわせて紹介します。

“とりあえず”のスタンスがNGな理由

 日本におけるFacebookのMAUは2100万人以上(DAUは1300万人以上)、TwitterのMAUも2100万人以上いることから(参照:5大ソーシャルメディアのユーザー数まとめ!Facebook、Twitter、LINE、Google+、YouTube、生活者(ターゲット)とコミュニケーションをとるには、SNSはクライアントの商品・サービスの価値を訴求するための重要なコミュニケーションポイントです。

 しかし、プランニングサイドが重要視すべきポイントは、SNSのユーザー数以上に“SNSを活用するユーザーは、なぜSNSを活用しているのか?”というインサイト(行動心理)を紐解くことです。ここを突き詰めないままFacebookやTwitterを絡めたアイディアは、当然のごとくSNSユーザーのココロには刺さることはなく、情報拡散も期待できないでしょう。

 時々「いいね!」が押されたり「リツイート」されていれば満足!なら問題ないですが、ほとんどの場合はそういうわけにはいかないはずです。

SNSユーザーが投稿・シェアしたくなるインサイト

 “SNSを活用するユーザーはなぜSNSを活用しているのか?”について、そもそもの持論をまとめてみました。

d2c-18-01.png

SNSを活用するユーザーはなぜSNSを活用しているのか?

 SNSユーザーが(ビジネス以外で)SNSを使う理由には、「知り合いの近況を知りたい!」や「投稿した写真を誰かに見てもらいたい!」、もっとライトなものでいえば「いいね!を押してもらいたい」など、人それぞれ様々な理由があります。

 そして、SNSユーザーがSNSを利用する理由の上位には、すべての理由に共通する2つのインサイトがあります。

  1. SNSを通じて“誰かと繋がっていたい”という欲求
  2. 自分の存在価値を認識させたい(したい)という欲求

 1.に関して、

  • SNSはアクセスするだけで知り合いの(知り合い以外も)近況を知ることができる
  • コミュニケーション(いいね!やコメント、リツイートなど)が取れる

という機能的側面から、SNSユーザーには、

  • 常に自分のそばに誰かいてほしい!
  • 一人でいる寂しさを紛らわせたい!

というインサイトがあると考えます。つまりSNSは“心理的安心”を生み出す心の支えとして働いていると言えます。

 2.に関して、写真をSNSに投稿をする行動から考えれば、

  • 自分を表現(発信)することでSNSユーザーに自分の存在価値を認識してほしい!
  • 自分が投稿した写真に誰が、どんなリアクションをするだろう?
  • 自分の存在価値をその他ユーザーのリアクション(いいね!やシェア、リツイート)から認識したい!

というインサイトがあると考えます。

 また、2.のインサイトを紐解くと、SNSにアクティブなユーザータイプA、Bと彼ら特有のインサイトを導き出すことができます。

ユーザータイプA:自分の(周辺含む)情報を投稿・シェアする人
  ⇒インサイトA’:自分の存在(または周辺情報)を表現したい・発信したい

ユーザータイプB:ネットに掲載されているネタを投稿・シェアする人
  ⇒インサイトB’:誰も知らない(未体験)情報をいち早く発信したい(発信源になりたい)

 ユーザータイプAは、自分自身を表現、演出する手段としてSNSを活用する傾向があり、投稿テーマもユーザーごとに大きく異なります。自分の投稿にいいね!やコメント、リツイートされることに自分の存在価値を感じ、彼らには“もっと自分を見てもらいたい!知ってもらいたい!”というインサイトがあります。

 ユーザータイプBは、ネットに接触する頻度が高いユーザーで、リリースされた情報の鮮度・信憑性・ネタ性が高ければ高いほど投稿・シェアしたくなり、みんなの情報の発信源として他ユーザーに評価されることで自分の存在価値を感じます。彼らには“自分の存在を情報発信源という形で表現したい!”というインサイトがあります。

 SNSにアクティブなユーザータイプと彼らのインサイトを押さえたアイディアこそが拡散性に期待できるアイディアと言えるのではないでしょうか?

メンタリストDaiGoのパーソナリティチェック

 最後に、ユーザータイプAとBのインサイトを押さえた事例として、「メンタリストDaiGoのパーソナリティチェック」についてご紹介します。

 「メンタリストDaiGoのパーソナリティチェック」とは、メンタリストDaiGo氏が質問内容から診断結果文言まで全て監修した、NTTドコモが提供する無料性格診断コンテンツです。簡単な質問に答えるだけで自分の性格が32種類の診断結果に分類され、NTTドコモのスゴ得コンテンツで提供しているサービスの中から、診断結果に基づいた「おすすめコンテンツ」が紹介されます。

d2c-18-02.png

「メンタリストDaiGoのパーソナリティチェック」

 本アイディアは、SNSユーザーが抱くインサイトA’とインサイトB’に対し、下記の通りアプローチしました。

インサイトA’:「自分の存在(または周辺情報)を表現したい・発信したい」に対して・・・
 ⇒ 診断結果を32種類設け(通常の無料診断コンテンツ診断結果は10~20種類程度)、「私=●●」をより具体的に提供することで、ユーザーのアイデンティティを感じさせる仕様を導入。

インサイトB’:「誰も知らない(未体験)情報をいち早く発信したい(発信源になりたい)」に対して・・・
 ⇒ 通常、無料診断コンテンツは監修元を明かさないことが多いが、本アイディアでは、当時テレビ出演で話題になっていたメンタリストDaiGo氏をキャスティングすることで、ユーザーは無料なのにDaiGo氏監修のリッチなコンテンツを楽しめる「未体験」のコンテンツとして提供。

 結果として本企画は、インサイトA’、B’両方に対してアプローチをし、FacebookとTwitterからのアクセスUU数は、約20万(総アクセスUUは約88万)を超える結果を記録し、SNSユーザーインサイトを見事にシゲキしたのでした。

 今回はアイディアに対するSNSの絡め方について紹介しましたが、今後はプランニングをするうえで重要なポイントを更新していきたいと思います。

この連載の記事

一覧へ

この記事の編集者は以下の記事をオススメしています