このページの本文へ

2015年の話題はこれだ!ネット広告業界総まとめ

2015年12月15日 11時00分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

2015年を振り返る時期となりましたが、今年はインターネットを舞台にした事件が多かったような気がします。広告業界に関わるものとして一番の衝撃は、オリンピックのエンブレムが白紙撤回された件でした。インターネット時代における象徴的な出来事で、デジタル化されたものは比較検討することが誰でも簡単に短時間でできますし、その真相の真偽に関わらずニュースとして拡散されたため、事態を収集する事は不可能になりました。

今回は、2015年を「インターネット広告」に焦点を当てて一年を振り返ってみたいと思います。

ステマ記事排除へ整備される「ネイティブ広告」

最初に取り上げるキーワードは「ネイティブ広告」です。

数年前から問題とされてきた「ステマ」の流れで、広告と記事の切り分けが問題となっていましたが、3月18日に一般社団法人インターネット広告推進協議会(JIAA/2015年6月より一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会)が「ネイティブ広告に関するガイドライン」を発表したことで、インターネット広告業界として「対価が発生すれば広告」という明確な用語定義で解説が為された(画像参照)ことです。

01.png

「ネイティブ広告に関するガイドライン」より

もっとも重要なところは、「編集記事」の用語解説にある「直接的かつ間接的に⾦銭の授受があった場合の編集記事ではない例」という解説です。

これによって一部企業との見解相違が浮き彫りになりました。

また、「問題となる事例」が何件かニュースになりました。

業界関係者なら一度は見たニュースだと思いますが、念のためソースを列記しました。この機会に今一度、ご確認されることをお勧めします。

テレビCM出稿企業の約2割が実施した「動画広告」

2014年の総まとめでも動画広告は取り上げたのですが、その当時、動画コンテンツ市場の盛り上がりは正直今一つでした。しかし今年は、動画広告がカギとなる動画コンテンツ市場が大きく動いたように感じます。

昨年から噂があったNetflixが日本市場に参入し、テレビ業界だけでなく、動画配信に先行していたHuluも見逃し番組の提供を開始。Amazonも動画サービスを有料会員向けに投入し、無料動画をずっとやってきたYouTubeも広告なしの有料サービスを開始するなど、各社とも動画コンテンツへの参入が賑わいました。

また、Twitter、Instagramを始めとする各SNSでも動画投稿が可能になったこともあり、数年前では考えられないほど、気軽に動画に接触する機会が増えました。

すでに、テレビ離れが10代から始まっていると言われていますが、テレビ以外でPCやタブレット・スマートフォンから動画を視聴するようになっていると思います。事業会社の調査では10代のスマートフォンによる動画視聴がテレビとほとんど変わらないという結果が発表されています。また、ニールセンからはスマートフォンで映画やドラマを視聴している10代が半数以上いるという調査結果もありました。

02.png

オンラインビデオ総研とデジタルインファクト「動画広告市場規模推計 <デバイス別>」より

現状、VRIによると動画広告の広告主業種はメーカーが多いようですが、テレビCM出稿企業の約1/5がWeb動画広告にも出稿という結果になりました。スマートフォンと動画広告の組み合わせに期待を寄せる企業も多く、今後は出稿業種も増えていくことでしょう。

動画関係では、Flashの配信が停止されるなど気になる動きが幾つかありました。特にFlashについては使用しない方向が鮮明になっており、広告だけでなくコンテンツ制作においても留意が必要です。併せてチェックすることをお勧めします。

テクノロジーの拡大に伴い広がる「広告悪用」

アドテクで昨年は盛り上がりましたが、ネットワーク化されたインターネットでは悪用される事件も減ることはありません。広告配信ネットワークを介して感染サイトへ誘導したり、不正な方法で正規の広告を乗っ取ったり市場の拡大に伴い被害は増えています

03.png

Cyphortより「不正広告の影響を受けるドメイン数の推移」

また、クリック課金などの不正なカウントをするボットなど、頭の痛い問題もあります。どのアクセスが人で、どのアクセスがボットなのか、ブラウザーのユーザーIDまでも偽装されてしまうと判別は困難です。

ボットに対する無駄な広告費は、全世界で63億ドルとも言われている広告詐欺。同プロジェクトに見られるように、世界各国の企業が連携した調査や技術開発の動きは今後も広がりそうです。

(IoT) 顔文字ではなく「Internet of Things」

インターネットによって「物」とも繋がることが特別なことではなくなってきました。民生用にはApple Watchで今年は注目されましたが、スマートフォンを介在してセンサー技術が人々の情報入手を拡大しつつあります。

今までは身に着けるという部分で時計やメガネの形態をとってましたが、IoTになってからは防犯などセンサー技術との組み合わせも出てきています。IoTは広告媒体としての可能性は薄いと感じていますが、マーケティング的には活用できそうです。プライバシーの問題などクリアすべき課題が厚い壁ですが…。

課題解決のため行政も支援に乗り出してきています。経産省と総務省が産学官の取り組みである「IoT推進コンソーシアム」が設立されています。メンバーにはネット広告関係の会社も多数参加しており、期待の程がうかがえます。

IoTのプラットフォームを狙ってか、技術標準や業務提携もニュースに沢山ありました。

年をまたぐトピックをいくつか

今年はオリンピックのエンブレム問題がありました。真偽は不明ですが、一旦決定したものが白紙に戻るという前代未聞の事態に発展し、著作権について調べた方も多かったかと思います。広告制作やサイト制作に携わる方々には、是非一度、商標や著作権について知っておいて頂きたいと思う次第です。

それから、日本の総理大臣が携帯電話料金の家計に占める割合が多すぎるという事で、料金の引き下げについて言及した結果、総務省が動いて値下げ圧力が政治的に掛かっています。各キャリアともデータ通信において接続速度の制限を設ける従量制課金体系にシフトしたことで、動画視聴に不自由さが残る事態が発生していました。実際に値下げするのであれば、動画視聴がモバイル端末で増加するので、動画広告市場も拡大するのではないかと期待をしてしまいます。

期待つながりで、ソフトバンクのロボット「Pepper」です。

ちょっとお高いパソコン並みの金額で買えるせいか、大人気で即完売。これ、コミュニケーション部分については電通が関わってるとか、手広いですよね。「Pepper」はインターネット端末(会話機能はネットを介してクラウド上で情報処理されている)なので、IoTの一つの形かも知れません。

Pepperとの日常会話に宣伝文句をブチ込むような時代が来たりして…、と妄想が刺激されました。「最近毛が薄くなりましたね。○○○○でも頭皮に揉みこんだらいいんじゃないですか。このままだと存在も薄くなりますよ。」とか、Pepperの声で勧められたら、鏡を見てしまいそうな自分がいて怖いです。

この連載の記事

一覧へ

この記事の編集者は以下の記事をオススメしています