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渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」 ― 第13回

存在しない「欧米市場」は狙わない

「鋼の錬金術師」プロデューサー、次の狙いは?【後編】

2011年02月12日 12時00分更新

文● 渡辺由美子(@watanabe_yumiko

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 国民的アニメ「鋼の錬金術師」(ハガレン)。そのプロデューサーを務める田口浩司氏へのインタビュー。記事前編では、ハガレンで「5億円のギャンブル」を仕掛けて大勝利した背景を聞いた。後編で伺うのは、いよいよ「次の狙い」だ。

「鋼の錬金術師」あらすじ

 錬金術が支配する世界。そこで「人体錬成」は最大のタブーとされてきた。だが、ある幼い兄弟は亡き母親を想うあまり、ついにタブーを侵し、すべてを失ってしまう。機械鎧(オートメイル)を身にまとい、「鋼の錬金術師」の名を背負った兄、エドワード・エルリック。巨大な鎧に魂を定着された弟、アルフォンス・エルリック。二人は失ったものを取り戻すため、「賢者の石」を探す旅に出る。オフィシャルサイトはこちら


―― 「ハガレンの次」をどうするかというお話でしたが、具体的にはどのように考えていますか。

田口 海外市場と国内市場、それぞれに考えています。日本のマンガやアニメが「ジャパニーズ・クール」ともてはやされているという報道はたくさんあります。実際、われわれも「Japan Expo」や「Comic-Con International」のような海外イベントに行って、お客さんの大きな反響を聞いています。

 けれど、ビジネス的にはそんなに儲かっていません。「鋼の錬金術師」が連載されていた当時、全米で1巻あたり一番売れていたのは「NARUTO」、2位は「鋼の錬金術師」でした。でも部数としては日本の15分の1ぐらいなんです。

―― 思いのほか少ないんですね。

田口 ディストリビューション(流通、配布形態)の問題があるんですね。日本と同じコミックでも、アメリカで買うとだいたい9~13ドル、1000円前後。値段が高いんですよ。刷り部数が少ないと原価単価が上がってしまいますから。

 それに書店の数が圧倒的に少ない。日本みたいにちょっと行ったら本屋がある状況じゃないんです。週に1回、親と一緒に車でショッピングモールに行って、そこで親にねだって買ってもらう。そこで1000円のものをそんなに買えないわけですよ。単価が高いからマーケットとして広がらない、広がらないから単価が下がらない……そんな悪いスパイラルになっているという状況があります。

―― 子供が自分のおこづかいを持って本屋にマンガを買いに行ける日本とは、大きく違うのですね。

田口 そうなんです。国によって状況が全然違いますから。でも逆に考えると問題は流通なわけだから、日本ではまだ未知数の「配信コミック」がいけるかもしれないと思って、そちらを進めています。

―― 何か手応えなどはありましたか。

田口 まだないですね、正直。試してはいるけど、配信コミックについてはまだです。

(次のページに続きます)

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