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渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」 ― 第24回

人は必ずブレるもの 「UN-GO」脚本・會川昇氏が語る【後編】

2011年12月26日 16時00分更新

文● 渡辺由美子(@watanabe_yumiko

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 坂口安吾原作のアニメ「UN-GO」脚本家・會川昇氏インタビュー後編。人の「愚かさ」「弱さ」を認めようという前編に続き、後編では「ダメな自分」に焦点を当てる。自分を卑下する“負の側面”とどう付き合えばいいのか。その強い考え方、そしてたくましい生き方は、會川氏の人生そのものにも関わっていた。


あらすじ

 わけあり探偵と謎の美少年のコンビが難事件に挑む本格探偵ストーリー。“終戦”を迎え、戦争の傷跡ももまだ残る未来の東京。君臨するのは、政財界に通じ、通信インフラを牛耳るメディア王・海勝麟六。海勝はその明晰な頭脳で、数々の事件を解決に導いてきた。

 だが、海勝の名推理には裏がある。その裏にある“本当の真実”を見事にあぶり出すのが、「最後の名探偵」結城新十郎だ。それを知らない世間は、新十郎を「敗戦探偵」と呼ぶ――。 それでも新十郎は因果とともに本当の真実を求めずにはいられない。

■ 「UN-GO」 公式Webサイト


脚本家・會川昇

1965年生まれ。東京都出身。早稲田高等学校在学中にアニメ「亜空大作戦スラングル」(83年)で脚本家デビュー。「機動戦艦ナデシコ」(96年)など、アニメ・特撮の脚本を手がける。近年の代表作は「鋼の錬金術師」「轟轟戦隊ボウケンジャー」「機巧奇傳ヒヲウ戦記」など。


―― 「UN-GO」は、坂口安吾の小説をベースに創作されましたが、安吾作品のどんなところに共感して作品に入れたいと思いましたか。

會川 今回、安吾作品を読み直したんですが、ある部分は非常に現代的だと感じたんですね。そこは割と生のまま出しました。


―― どういうところが現代的だと思いましたか。

會川 人間の本質についての描き方です。「堕落論」が書かれたのは戦後すぐですけど、みんな「戦争が終わってよかったよかった、もうこんな悲惨なことは二度と起こらないよね」と言っている状況下でも、安吾は、世論とかみんなの意識を敏感に感じた上で、“今はいいけど、また過ちは起きるよね”と、その先をちゃんと見抜いて書いている。人間の本質はそんなに変わらないよ、と。


―― 「UN-GO」でも、醜いものと正しいものを両方持っているのが人間だ、という描写がありました。第4話では、人工知能アンドロイド「R.A.I」が軍事利用されようとしたり、意のままに動かせる美少女の姿をとったりと、人間の欲望を叶える存在として描かれます。その一方、そこに警鐘を鳴らす人物も現れた。新十郎は「あらゆる悪いことと並列に、人は正しいことを愛する生き物だ」と語っていますね。

會川 悪いものと正しいものは並列する、というのは、水島(精二)監督や僕が今まで考えてきたテーマに、安吾を近づけて解釈している部分もあります。安吾自身は、善とか美しいものは大事だとはっきり言っています。

 ただ、その善とか美しいものは、誰かが決めるものではなくて、自分で考えるものなんだと言っている。たとえば天皇の名のもとに人が玉砕覚悟で特攻するとか、戦時中にみんなが美しいと言っていたものは、自分で考えたものではなくて、上から与えられて誰かがそれをコントロールしているんだよ、そんなものはちっとも美しくない、何が美しいかは自分の頭で考えようよ、と。安吾はそう言っているんですね。

 物事の良し悪しは自分の頭で考える。そこは非常に共感して、積極的に「UN-GO」に反映しています。

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