ロータリーエンジンの仕組み
マツダの水素を使用した車両は前述の通りRX-8とプレマシーという2台ですが、ともにロータリーエンジンを搭載しています。RX-8は元々ロータリーエンジン車として誕生しましたが、プレマシーには通常のレシプロエンジンではなく、特別に水素ロータリーエンジンが載せられたことが特徴です。
それでは、次にロータリーエンジンの解説をしましょう。ロータリーエンジンと言えばクルマに興味がない人でも1回くらいは聞いたことがあるかもしれません。現在、世界中を見ても生産しているのはマツダのみです。それがマツダとロータリーエンジンが唯一無二といわれる所以で、様々なメーカーが過去に開発を試みましたが、オイルショックなどの影響もあり、一般生産を持続することはできませんでした。
ガソリンを燃料としてエネルギーを取り出す内燃機関という意味では、一般的なクルマに搭載されているピストン運動を動力にするレシプロエンジンと同等の存在ですが、構造は全く異なるものです。
レシプロエンジンは、シリンダーの中のピストンが上下することで「吸気・圧縮・爆発・排気」を繰り返し、コンロッドを介してクランクシャフトが回り動力となっています。これに対してロータリーエンジンは、ローターがローターハウジング内をまわることで、中心にあるエキセントリックシャフト(クランクシャフトと同様)を回転させ動力に変えてます。
レシプロエンジンでは、吸気・圧縮・爆発・排気の4つの行程をを同じシリンダー内で行なっていますが、ロータリーエンジンはこの行程をローターハウジング内の別々の場所で行なっています。そのため、ロータリーエンジンは、レシプロエンジンに比べて効率良く働くことが可能です。
詳しく説明すると、吸気・圧縮・爆発・排気のひとつの行程で、レシプロエンジンはクランクシャフトが2回転します。それに対してロータリーエンジンのエキセントリックシャフトは、この行程中に3回転します。ですが、ローターハウジング内では、この4つのサイクルが3組同時進行しているので、レシプロエンジンに比べて3倍の効率となります。それゆえ、同等の排気量でもロータリーエンジンはレシプロエンジンに比べてハイパワーとなります。
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