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激化する次世代燃料ウォーズを制するのは!? 第4回

開発者に聞く「もう水素ロータリーは実用化?」

2008年05月23日 13時00分更新

文● 真鍋裕行

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マツダ株式会社 プログラム開発推進本部 主査 柏木章宏氏

 「激化する次世代燃料ウォーズを制するのは!?」と題した特集の中で、「水素ロータリーエンジンの基礎知識」(関連記事)、「ハイドロジェンRX-8試乗インプレッション」(関連記事)という2つのコンテンツをレポートしてきました。そして、今回は、水素ロータリーエンジンの開発プロジェクトを推進しているマツダの開発主査、柏木章宏さんに登場してもらい、さらに詳しい、水素ロータリーエンジンの開発秘話や今後の展開を語ってもらいました。水素社会の到来、そして水素ロータリーの実用化はそう遠くないことを感じるでしょう。それでは、インタビューをご覧ください。


燃料電池と水素燃料のメリット・デメリット

───まず、マツダでは水素燃料を内燃機関(ロータリーエンジン)と組み合わせて開発を行なっていますが、燃料電池を利用するということは考えなかったのでしょうか?

柏木章宏氏(以下敬称略) マツダも燃料電池の開発を行なわなかったわけではありません。過去には開発に携わった経緯もあります。なので、燃料電池の良さもわかっています。我々なりに、燃料電池と内燃機関の比較を行ない、メリット、デメリットは把握しているつもりです。

次世代ロータリエンジン「16X」

 まず、燃料電池についてですが、コスト、信頼性、ガソリン併用の難しさなどの問題があり、なかなか一般化していない側面があります。また、燃料電池に使用する水素燃料は、高純度のものが必要になります。内燃機関では70%程度の純度で使用できますが、燃料電池の場合は99.99%の純度の水素が用いられます。そのため、水素を精製するという面でも問題があります。

 それに対して、水素を内燃機関で燃焼させる場合は、コストやガソリンとの併用性など優位な点が多くあります。唯一劣っているとしたら、エネルギー効率になります。さまざまな工夫はしていますが、燃料電池の効率を内燃機関で上回るのは、理論的に不可能だと考えられています。ですが、この不利な点を考慮しても普及のためには内燃機関の方がメリットがあると判断しました。それが選択した理由です。

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