NOx(窒素酸化物、nitrogen oxide)と言えば、クルマの排気ガスなどから排出される大気汚染の原因のひとつとされている物質である。クルマの窓ガラスに「優低排出ガス」といったステッカーが貼ってあるのを見たことがある人も多いだろう。あのステッカーはどれだけNOxなどの有害ガスが少ないクルマかということを表しているのだ。そして、自動車メーカーや、ディーゼルエンジンで動く車両を採用している鉄道会社は、このNOxを削減するために四苦八苦しているのが現状である。
そんな中、日本ガイシ(株)が新型車載用NOxセンサーを開発した。同社は世界で唯一の車載用NOxセンサーの量産メーカーでもあるのだ。ちなみに、クルマ好きの間で有名なスパークプラグの「NGK」とは別の会社なので注意して欲しい。
新型NOxセンサーは、測定誤差を±15ppmから±10ppmまで、約3割低減した高精度を実現している。これにより、米国のUS10や欧州のユーロV規制、日本のポスト新長期規制といった世界各国の排ガス規制にも対応できるようになった。日本ガイシでは、昨今の環境問題と併せて、この高精度NOxセンサーの需要が高まることを見越し、2009年7月から年間生産量を現在の倍である200万個に引き上げるという。
車載用NOxセンサーとはクルマのマフラーに装着され、排ガス中のNOx濃度を検知し、排ガス浄化装置の制御やその診断に使用される重要なパーツである。燃料を燃やして走っている以上、クルマからNOxをなくすことは不可能だ。しかし、より詳細に検知できるようになれば、よりきめ細かい対策が可能になり、クルマが環境破壊の矢面に立たされることも少なくなるに違いない。次世代エンジンや次世代エネルギーに頼る前に、まだまだできることがあるハズだ。
写真提供:日本ガイシ