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ASCII STARTUP 今週のイチオシ! 第55回

医療×保険で個人の情報を護るプラットフォーム実証実験をスタート

ロシアのサイバー攻撃に耐えたセキュリティーを継承!異なる産業をデータでつなぐプラネットウェイの壮大な挑戦

2017年05月12日 07時00分更新

文● コヤマタカヒロ 聞き手・編集●北島幹雄/ASCII STARTUP 撮影●曽根田元

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保険業界で世界的にもイノベーティブなプロジェクト

 平尾氏が東京海上日動との協業を最初にスタートしたのは、この技術を進めるに当たって、最も秘匿性の高いデータから始めるべきだと考えたからだ。医療カテゴリーでセキュリティー性を実証できれば、ほかのジャンルでも横展開は進めやすい。そう考えていたところに、東京海上日動の担当者との出会いがあり、医療×保険でのシナジーがあることがわかった。大手とスタートアップでのオープンイノベーションとして、医療での実証を果たしたあとはさらにその輪を広げていく算段だ。

 すでに、本取り組みは世界的にも評価を得ている。金融商品のイノベーションを推進するために、会員世界130ヵ国に3300社をようするEfmaとAccentureが共催する「Innovation in Insurance Award 2017」において、Connected insurance and ecosystems部での東京海上日動の第1位受賞にPlanetwayは貢献した。

 同賞受賞は、今回の取り組みが、保険業界で世界的にもイノベーティブなプロジェクトとして評価されたということだ。評価理由は、保険ビジネスの高度化だけでなく、医療費の高騰という日本の社会的な課題解決も視野に入れて最先端技術を活用している点、また保険会社・地方自治体・ベンチャー企業が一体となって取り組んでいる点、そしてブロックチェーンとavenue-crossを組み合わせることで、オープン性とセキュリティーを同時に実現している点などだという。

 「保険もそうだが、ロジスティクスや農業・漁業などのとてつもなく大きな市場をもった第一次産業も想定している。そこで新たなプラットフォームを作っていき、将来的には全業界でセキュリティーを担保しながら、個人が自分の意思で自由自在に、誰に、どこまで、自身のデータを公開するかコントロール可能な、未来型の社会を作っていきたいと思っている。それができたら、Googleさえ超えられると私は思っている。エストニア政府がなぜプラネットウェイに協力してくれるかというと、日本人なのに『Googleを超えられる』などと言っているから。面白がってくれていて、そのビジョンに共感してもらっている」(平尾氏)

平尾氏のこれまでと、プラネットウェイのこれから

 平尾代表は、起業前に孫正義氏率いるソフトバンクに在籍していた経歴も持っている。元々、アメリカの大学に進学していた際にソフトバンクと出会い、孫正義氏から直筆のサイン入りの自伝を渡され、ソフトバンクに入社したという。

 「(ソフトバンク)常務執行役員の青野さんから入社当時、『孫さんからのメッセージで、超えろって、言われたぞ』と伝えられ、帰国の飛行機では泣きながら自伝を読んだ。その後、ソフトバンクでは最終的に孫さんの直属部隊のようなところで、経験を積ませてもらった」(平尾氏)

 ソフトバンクではいくつかのベンチャーの立ち上げに参画するなかで、次世代半導体ベンチャー創設に従事したが、会社清算という失敗も経験する。ソフトバンクを離れ、サーコムやワイヤレスゲートでIoTや製造ノウハウを獲得し、平尾氏自身が3社目として立ち上げたのが、プラネットウェイだ。

 創業目前から、AIのコンセプトやIoTプラットフォームというのは頭にはあったという。しかし、タイミングを見計らっていた。なぜなら、想定したビジネスモデルだけでは当初の収益が得られない。創業には、大きなビジョンと目先の利益の両方がないとだめだと考えていた。

 そんなときに、ロンドンのIoT関連イベントで出会ったのが、エストニアのTop Connectという会社だった。同社が行なっていたのは、世界200ヵ国で利用でき、さらに国際ローミングよりも安い価格で利用できるSIMカードのビジネスだ。この出会いからたった4ヵ月後に、プラネットウェイはSIMカード「TAKT」として製品化し、ヨドバシカメラで販売するに至る。

世界約200ヵ国で使えるプリペイド型SIM「TAKT」

 「普通なら1年は掛かりそうなことだが、エストニアサイドと対面したのは2回だけ、ほかはスカイプ会議で製品化まで至った。そのなかで、このエストニアという国は凄いと実感した。さらに調べていった中で、エストニアの経済通信省出身の、ラウルという人間と出会えた。彼にやりたいことを話したところ、エストニアにそれを実現する技術があると、提案を受けた。それこそが『avenue-cross』で採用しているエストニアの技術のコア」

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