温度と消費電力
次にGPU温度と消費電力を見ていこう。測定にはハードウェアモニタリングソフトの「HWMonitor 1.10」を使い、Windows起動後30分放置した状態をアイドル時、3DMark06にてピクセルシェーダーテストを連続20回実行した直後を高負荷時とした。なおCPUの省電力機能はオフにしている。
GPUクーラーは製品により異なるため厳密な比較は難しいが、傾向を知る手掛かりとして見ていただきたい。
注目は75W以下とされるHD 4670だが、アイドル時の温度は残念ながらHD 3650よりもやや高い。しかしHD 4670より大きいGPUクーラーを搭載するHD 3850よりも低い温度を保っており、省電力なことが伺える。9600 GTの高負荷時の温度が低いのはGPUクーラーのファンが、比較的高回転で回っているためだ。
そして消費電力だが、こちらはワットチェッカーにてシステム全体の電力を計測した。温度ではHD 3650に敵わなかったHD 4670だがアイドル時の消費電力の低さは比較4製品の中で最低の108Wを記録した。もっとも高かった9600 GTとの差は約20W、HD 3650と比べても10W以上低い。
高負荷になるとさすがにHD 3650よりは高くなってしまうが、HD 3850、9600 GTとは大きな差をつけており、これまでのパフォーマンステストの結果を考えればワット当たりの性能は言わずもがな、である。
総評
「3DMark Vantege」、「3DMark06」はDirectXをフルに活用した場合のベストケースと考えると、HD 4670の絶対性能はHD 3850や9600 GTよりも一段低いものと思われる。が、実際のゲームでは3DMarkほどフル活用するものは少なく、どこを犠牲にしてどこに注力するかでビデオカードのパフォーマンスは大きく変わることになる。ゲーム3タイトルでの比較から見えてくるのはパフォーマンス上、相対的に性能差が出にくいメモリ周りのコストを下げ、その一方でGPUクロックを上げることでグラフィックス負荷の軽いタイトルの性能向上を狙ったのがHD 4670と言えそうだ。
HD 3000時代はGeForce勢に水をあけられていたRadeon HDシリーズだが、HD 4000シリーズはGeForce勢に肉迫、あるいは凌駕するシーンが多く、HD 4670もその流れを汲んでミドルレンジでキラリと光るパフォーマンスを発揮している。この秋、1万3000円以下で選ぶならHD 4670は最有力候補と言えるだろう。
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