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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第27回

ニコニコ世代の「アングラ」生んだ、ヒッキーPに聞く

2010年07月03日 12時00分更新

文● 四本淑三

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ヒッキーPの偏愛盤ベスト10


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地獄逝きだョ!出発進行!!<再発>

地獄逝きだョ!!出発進行!!/QP CRAZY(2001)

 凄まじくプリミティブな吐露が、まるで機関銃のように襲撃してくる名作ではないでしょうか。音の1つ1つがストレス発散とはまさにこの事。怒涛の勢いによって、カラっとヌメっと内臓をぶちまけられるかの様なキモチワルイ爽快感に見舞われます!


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あ・り・が・と・う(紙ジャケット仕様)

あ・り・が・と・う/中島みゆき(1977)

 ここで紹介する以上、「中島みゆき」という巨大なクラスタの外側にいる人達にこそ聴いて欲しいアルバムを選びました。まるで常に霧の奥のずっと向こうに音が鳴っている様な、表面的な音は全く違うのにとてもオルタナティブな感触が光る不気味な名作です。「ホームにて」は私の父が一押しの名曲です。


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Psychocandy

Psychocandy/Jesus and Mary Chain(1985)

 砂嵐の合間から聞こえてきそうな音楽作品です。ジザジザとした鋭い音がシャァァーンとずっと響いていて、その上にとってもメリーな歌が乗っていて、ひたすらに眩しい閃光が差してくるみたいで何とも言えない身体になります。幸せになれます。


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I AND 愛

I AND 愛/堂本剛(2008)

 アイドルでもタレントでもなく、この方とこの方を支える制作スタッフを総称した音楽集団としての「堂本剛」が放った名盤です。ジャニーズを後ろ盾に、挑戦的な音のアイディアが飛び交いながら全力でアイドルになっている。何よりここから発せられる剛さんの偏屈なアイデンティティが鋭く確実なんです。


愚弄色/蜉蝣(2005)

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愚弄色 (通常盤)

 Aメロ、Bメロ、サビ、そんな形式を当たり前としている事への違和感を無理やり啓発し抉じ開けるかの様な、形式を逆手に取って悪意を忍ばせたかの様な歪んだアレンジが凄まじいです。「黒髪のアイツ」はその象徴的な名曲。物凄く緻密に「卒あり」を策略するその執念に大尊敬しています。


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Naked City

Naked City/Naked City(1989)

 お気楽なサントラのような風貌の序盤から徐々にカオスにすり替わっていく、そんな気色の悪さに呑み込まれて行く名作です。トランペットが変幻自在に雰囲気を塗り替えていく様が摩訶不思議で、緊迫と弛緩が交錯する独特の感じに病みつきになります。


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Peace Of Mind (通常盤)

Peace Of Mind/稲葉浩志(2004)

 誰かの人生を抉り取って覗いているかのような、享受しきれないドロドロした説得力に圧倒されます。真のフォーク・アルバムだと思って止みません。少なくとも、詞も曲もB'zとは全く別の場所で鳴っている作品です。苦く渋い緊張の糸が常に張っている様な、そんな感覚です。


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Love Angel Music Baby

Love Angel Music Baby/Gwen Stefani(2004)

 初めて「What You Waiting For?」のPVを観た時の衝撃が凄かったです。過剰な色彩が頭の中をぐるぐる駆け巡っていくかのようなダンス・ポップ作品で、絶頂を並べ立てたかのような音のギラギラ感がドラッグです。


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桜の国の散る中を

桜の国の散る中を/友川かずき(1980)

 極北から肉声と太鼓が落ちてきてめっためたにボコられる、そんな作品です。同じ土地で生まれて幼い頃からこの肉声に触れてきた以上、私は友川さんの影響下にしか存在していません。CDもLPも入手困難なのですが、オークションで何万円払ってでも損はさせない屈指の名作。


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「090-9170-6967」

090-9170-6967/魔ゼルな規犬(2008)

 切迫の音声作品です。電子音楽にここまで日本人特有の情念、怨念、ネガティブな感情への執着をぶち込めるのだということを刺々しく暴いた飛躍的な鬼作で、ヴィジュアルショック20年来の大変革だとも思っています。息苦しさと美しさが両方に振り切れる作品です。将来プレミアつきますよ!





著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。

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