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古田雄介の“顔の見えるインターネット” ― 第63回

なぜ秒刊SUNDAYはわざと炎上する方向に進むのか?

2010年01月11日 12時00分更新

文● 古田雄介

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炎上に慣れて、集客ツール化

―― では湯川さんはいつ頃炎上慣れしたのでしょう。最初の頃は、やはり凹みましたか?

湯川 2~3回炎上した頃には慣れていました。ただ、怖さはあったものの、最初から全然凹みませんでしたね。

 最初に炎上したのは、2ちゃんねるのコピペブログ騒動のときです。叩かれていたブログ管理人の仲間だと見なされて、ウチにも飛び火してきたんですよ。それであることないこと、色々な情報が晒されたわけですが、本当か嘘かわからないようなものもあって、「それくらいなら別に書かれてもいいかな」と放っておきました。別に家に来るわけじゃないし。

2ちゃんねるのコピペブログ騒動 : 2006年春頃に起こった大規模な、炎上祭騒ぎ。いくつかの2ちゃんねる系ブログの運営スタンスや発言などが、一部の2ちゃんねらーの反感を買っており、その感情が爆発して祭となった

熱心に語る(ポーズをとる)湯川氏。炎上で凹む人に向けてのアドバイスをお願いしたところ「もっと炎上しろよ。業火に飛び込めよ」と話してくれた

―― でも、住所や個人情報がよくさらされていますよね。これはリアルな生活に影響を与えませんか?

湯川 さらされましたね。何度目か……何度も炎上しているんで忘れちゃいましたけど、何度目かに本当の住所が書かれて、家の写真までアップされました。当時はもうそこに住んでいなかったのでよかったですけど、来るやつは本当に来るんだなと思いましたね。

 ただ、本当の住所のほかに嘘の住所もけっこう書かれています。第三者からみて真贋なんてつかないじゃないですか。だからまあ、やらせとけばいいかなと思います。むしろ、消せば消すほど逆効果で、消した情報の信憑性を高めてしまうんですよ。だったら、嘘も本当も全部出しておいたほうがいいんです。

―― 実生活に危害が及ぶ可能性がゼロでない辺り、かなりギリギリの判断ですね。その辺は炎上への恐怖心が小さいからできるんですかね。恐怖というのは未体験のものほど大きくなるじゃないですか。体験すると等身大に近くなっていくという。

湯川 確かに段々慣れてくるのはあります。慣れてきて、集客ツールとして使えそうだなと気づいたんです。炎上することで、ある意味SEO対策にもなるんですよ。色々なサイトがウチのことを取り上げるから、ウチの名前がどんどんネットに増えていって、ページランクの高いニュースサイトにも拾ってもらえるようになる。するとさらに名前が増えていくという。

 普段はウェブのコンサルをやっているんですけど、そこで「一番効果的なのは炎上だよ」と言いそうになります(笑)。まあ、さすがに一般企業さんではデメリットが大きすぎるから使えないけど、個人サイトなら使い方によってはいい道具になりえると思います。

―― 一般企業と違い、個人なら実社会との切り離しも自分の裁量で出来る。しかも多少の問題行為も、企業体の総意みたいな悪意の拡大解釈を免れて、一人の個性として許容される場合もあるという感じですかね。

湯川 そうですね。だけど、炎上慣れする過程で、周囲からも「よく炎上を起こすやつ」として認識されてしまう。すると、炎上のハードルが上がってくるんですよ。そのあたりが難しいですね。たとえば、官僚クラスのエリートが店の看板を蹴って壊したとブログで自慢げに語っていたら、炎上する可能性が高いですよね。それが僕だったら「こいつまた炎上させようとしてやがるな」となって、恐らく炎上しない。もうそろそろ、法律に思い切り触れないと炎上しないレベルになっていると思うんです。さすがに逮捕は嫌だけど、究極の選択としてはやるしかないかなと(笑)。まあ、捕まるとしても「そんなことで捕まるんだ」と思われるような、カラクリがないとつまらないですけどね。

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