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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 ― 第57回

追い込まれた地デジ 起死回生の策とは?

2009年03月04日 12時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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2011年7月にアナログ放送は止められるか

B-CASカードによって、海外製の安い液晶テレビを買うことができない

 米国では、オバマ大統領が地上デジタル放送への完全移行を6月に延期した。しかし、まだ600万世帯以上がアナログのまま残っていると推定され、「積み残し」が出ることは避けられない。しかし米国では85%の世帯がケーブルテレビで見ており、実質的な影響はさほど大きくない。問題は日本のほうがはるかに深刻だ。

 2003年末の地デジ放送開始から5年たって、デジタル対応受信機は1月末で累計4691万台(デジタル放送推進協会調べ)で、売り上げは前年割れが続いている。日本にあるテレビは約1億3000万台と言われており、アナログ停波する予定の2011年7月まで2年余りで、全てをデジタルに切り替えることは不可能である。テレビの生産台数は年間1200万台前後で、駆け込み需要を見込んでも、あと2年余りで8000万台になればいいほうだろう。これによって、5000万台のテレビが使えなくなる。これほど大量の粗大ゴミを政府が強制的に作り出す政策には、環境省が難色を示している。

 それを押し切り、「1世帯に1台、見えるテレビがあればよい」と割り切って停波するとしても、世帯普及率では1月末で49.1%(約2450万世帯)。これまでほぼ1世帯に2台売れているので、あと2年余で8000万台になるとしても4000万世帯で、1000万世帯近くがアナログのまま残る。しかもこうした世帯は(米国のように)簡易アンテナで見ている低所得者で、ケーブルにも加入していない世帯が多い。テレビが唯一の「ライフライン」になっているような世帯で、放送を強制終了できるだろうか。

 アナログ免許を暫定的に延長して2011年以降も放送をしばらく続ける案が浮上しているが、これだと放送局はアナログ・デジタル両方の放送を続けなければならない。5000万台ものテレビが放送を受信できなくなると、広告単価が大幅に下がるだろう。ただでさえ経営危機に直面している地方民放の中には、経営が立ち行かなくなる局が出てくる。このままでは、停波は無理だろう。

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