i-modeとスマートフォンの融合を夢見て
海外製の端末やOSがほとんどのスマートフォンでは、日本で起きている不具合や言語の問題、機能改善などを、本国のメーカーにフィードバックする必要がある。ドコモのサポートに蓄積されるスマートフォンの知が、世界中のモバイルコンピューティングに反映されると思うと、非常に楽しみになってくる。
また料金や端末が壊れてしまったときのケアについても、基本的には通常のFOMA端末と同じものが利用できるように整備を進めている。例えばドコモプレミアクラブ安心サポートは、ケータイと同じように端末の保証を受けることが可能だし、購入する際の割引等も、他のFOMA端末と同じように受けられる。
事実、東京都内の量販店の中では、新規契約で3万円を切る価格で手に入れることができる店が登場している。これなら、スマートフォンは高いといったイメージを払拭できるだろう。またパケット定額制(月額1029~5985円)の導入や、個人で使う場合に必須となる「ブラックベリーインターネットサービス(BIS)」の価格も、月額1575円と半額になった(関連記事)。
800MHz帯にも対応し、通信エリアの面、サポート面、料金面で、ドコモとして本気でスマートフォンを安心して使えるような環境を整えている様子がよく分かるだろう。
デザイン性、信頼性、安心して使えるサービス。これらを揃えて選びやすいスマートフォンとしての演出を最大限にしているBlackBerry Bold。しかし三嶋氏は、i-modeに対応していない点は「依然としてバリアだ」と指摘する。
「ケータイとして当たり前の機能であるi-mode、とりわけi-modeメールが使えない点は、やはりメインのケータイとして使うには、割り切れないネックです。ビジネスユースも含めて、3割から4割のお客様に、i-modeメールに対応してほしいという声を頂きます。最終的には、絵文字メールが打てるようにしたい」(三嶋氏)
三嶋氏は、i-modeとBlackBerry Boldをカレーに例えて、将来のサービスイメージを語る。
「例えば、i-mode搭載のケータイはチーズカレーで、BlackBerry Boldはハンバーグカレーとしましょう。現在のケータイとスマートフォンの2台持ちは、チーズカレーとハンバーグカレーをランチに頼んでいるようなモノ。スマートフォンを選びたいユーザーは、チーズハンバークカレーを求めていると思います」(三嶋氏)
i-modeは1998年から始まり、日本でのスマートフォンは2006年から立ち上がっている。三嶋氏は「i-modeからもスマートフォンからもお互いに歩み寄って、将来のモバイルの姿を作っていくべきだ」と述べる。
実際、今回のBlackBerry Boldは、日本のケータイの強さであるFOMAエリアプラスに対応を果たした。しかしワンセグやおサイフケータイにはまだ対応していない。そしてi-modeメールという大きな存在への対応は夏以降と見られている。
しかし、ソリューションとしてGoogle Appsを勧めることに象徴されるように、ネット上に使える便利なサービスなら何でも積極的に活用しようという姿勢を見て、ドコモが変わってきたな、と感じるのだ。
スマートフォントと日本のケータイの融合の姿を夢見つつ、BlackBerry Boldに触れてみてはいかがだろうか?
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET。
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