法人にどのように売るか?
パーソナル・ユースをアピールするBlackBerry Boldだが、やはり法人市場向けの端末としての側面は強い。BlackBerry Enterprise Serverと社内システムの組み合わせによって、イントラネットを確実に、そして安全に持ち出すモバイル環境を提供するソリューションとして、BlackBerryは世界的に信頼されるブランドだ。
では、日本での導入のカギはどこにあるのだろうか?
「海外では小さな規模の企業でも、仕事やコストの効率化のために選んで頂けるようになっています。しかし日本では、大企業が先行すると見ています。その中で、大企業と取引のあるシステム・インテグレーター(SIer)企業の方々に、扱って頂けるよう紹介していくことから始める必要があります」(小林氏)
つまり、BlackBerryという新しいモノを、導入する商材としてSIerに紹介・説明して初めて大企業に提案が通る、という日本の商慣習にフィットさせる必要性を指摘しているのだ。「SIerさんといかに関係を作っていくかが、企業向け導入でのポイントになるのではないか」と小林さんはパートナーとの協業に力を注ぐ。
一方、販売するNTTドコモはどのようにBlackBerry Boldを売っていくつもりなのか。スマートフォンビジネスを担当する三嶋俊一郎氏は、主にサポートを充実させることから、安心して使ってもらえる環境作りを推し進める。
「ケータイなら、ドコモ端末を現場で販売している人たちの知識も深い。例えばi-modeであっても、登場して10年間経過した蓄積の上に、i ウィジェットやi コンシェルといった新機能が乗っています。ところがBlackBerry Boldは全く毛色の違う、ゼロから理解してもらう必要があり、全国を回って説明する必要がありました」(三嶋氏)
店頭で販売するスタッフの知識もゼロからのスタートだ。もちろんBlackBerry Boldを選ぼうとするユーザーもゼロからのスタートになる。そこでドコモは、料金や購入後のサポートを、一般の端末以上に手厚く用意している。
「BlackBerry Careという、BlackBerry専門のサポートサービスをスタートしています。顧客だけでなく代理店にとっての駆け込み寺のような存在です。ケータイではなくITやパソコンのサポートを経験してきたスタッフを配置して、分からないことやトラブルの解決に当たります」(三嶋氏)
将来的には、Windows Mobileやこれから登場するであろうAndroid端末なども含む、全てのスマートフォンを一元的にサポートできるドコモのスマートフォンのワンストップサービスを目指しているそうだ。
Google Appsを使えば中小企業でも導入可
また、三嶋氏と共にドコモのスマートフォン戦略を進める三浦智史氏が、中小企業向けのBlackBerry Boldの低コスト導入について、紹介してくれた。
「BlackBerryは、Google Appsとの親和性が非常に高いのです。BlackBerry Enterprise Serverを社内に設置するほどの規模がない中小企業は、BlackBerryとBISの組み合わせに、Google Appsを利用すれば、メールやスケジュール、連絡先などのプッシュや同期が可能になります」(三浦氏)
Google Appsでオリジナルドメインを設定すれば、独自ドメインのメールをセキュアに利用できる。またGoogleの全てのアプリをBlackBerry Boldで利用可能になっているそうだ。
ソリューションとしてGoogle Appsを勧めることに象徴されるように、ネット上に使える便利なサービスを積極的に活用しようという姿勢を見て、ドコモが変わってきたな、と感じるのだ。
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