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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第61回

BlackBerry Boldの売り方教えます

2009年02月22日 13時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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法人にどのように売るか?

 パーソナル・ユースをアピールするBlackBerry Boldだが、やはり法人市場向けの端末としての側面は強い。BlackBerry Enterprise Serverと社内システムの組み合わせによって、イントラネットを確実に、そして安全に持ち出すモバイル環境を提供するソリューションとして、BlackBerryは世界的に信頼されるブランドだ。

BlackBerry Enterprise Solutionでは、AES/トリプルDES暗号化に対応。ファイアウォールではアウトバウンド方向のみ通信を許可する。出典:Research In Motion社のウェブサイト

 では、日本での導入のカギはどこにあるのだろうか?

 「海外では小さな規模の企業でも、仕事やコストの効率化のために選んで頂けるようになっています。しかし日本では、大企業が先行すると見ています。その中で、大企業と取引のあるシステム・インテグレーター(SIer)企業の方々に、扱って頂けるよう紹介していくことから始める必要があります」(小林氏)

 つまり、BlackBerryという新しいモノを、導入する商材としてSIerに紹介・説明して初めて大企業に提案が通る、という日本の商慣習にフィットさせる必要性を指摘しているのだ。「SIerさんといかに関係を作っていくかが、企業向け導入でのポイントになるのではないか」と小林さんはパートナーとの協業に力を注ぐ。

 一方、販売するNTTドコモはどのようにBlackBerry Boldを売っていくつもりなのか。スマートフォンビジネスを担当する三嶋俊一郎氏は、主にサポートを充実させることから、安心して使ってもらえる環境作りを推し進める。

 「ケータイなら、ドコモ端末を現場で販売している人たちの知識も深い。例えばi-modeであっても、登場して10年間経過した蓄積の上に、i ウィジェットやi コンシェルといった新機能が乗っています。ところがBlackBerry Boldは全く毛色の違う、ゼロから理解してもらう必要があり、全国を回って説明する必要がありました」(三嶋氏)

三嶋氏は、プランによっては世界で1番安くBlackBerry Boldを購入できるほど、戦略的な低価格を設定できたことに自信を見せる

 店頭で販売するスタッフの知識もゼロからのスタートだ。もちろんBlackBerry Boldを選ぼうとするユーザーもゼロからのスタートになる。そこでドコモは、料金や購入後のサポートを、一般の端末以上に手厚く用意している。

 「BlackBerry Careという、BlackBerry専門のサポートサービスをスタートしています。顧客だけでなく代理店にとっての駆け込み寺のような存在です。ケータイではなくITやパソコンのサポートを経験してきたスタッフを配置して、分からないことやトラブルの解決に当たります」(三嶋氏)

 将来的には、Windows Mobileやこれから登場するであろうAndroid端末なども含む、全てのスマートフォンを一元的にサポートできるドコモのスマートフォンのワンストップサービスを目指しているそうだ。

Google Appsを使えば中小企業でも導入可

 また、三嶋氏と共にドコモのスマートフォン戦略を進める三浦智史氏が、中小企業向けのBlackBerry Boldの低コスト導入について、紹介してくれた。

 「BlackBerryは、Google Appsとの親和性が非常に高いのです。BlackBerry Enterprise Serverを社内に設置するほどの規模がない中小企業は、BlackBerryとBISの組み合わせに、Google Appsを利用すれば、メールやスケジュール、連絡先などのプッシュや同期が可能になります」(三浦氏)

 Google Appsでオリジナルドメインを設定すれば、独自ドメインのメールをセキュアに利用できる。またGoogleの全てのアプリをBlackBerry Boldで利用可能になっているそうだ。

 ソリューションとしてGoogle Appsを勧めることに象徴されるように、ネット上に使える便利なサービスを積極的に活用しようという姿勢を見て、ドコモが変わってきたな、と感じるのだ。

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