“はてブ”以上、ブログ未満のtumblr.
twitterと並んで大きな注目を集めているミニブログが“tumblr.”というサービスだ。こちらはテキストだけでなく、写真や動画、リンク、ほかのブログからの引用なども投稿できるし、普通に長文の記事も投稿できる。
多くのブロガーはこのtumblr.を、ウェブ上で見つけたおもしろいページや写真、動画のメモやスクラップブックとして使っている。
というと“はてなブックマーク”などのソーシャルブックマークを想像するかもしれないが、tumblr.は単にブックマークするだけでなく、そのページのコンテンツを引用し、自分のページにも表示できる。つまり、半ブログ的に活用できる点が大きな違いになる。ただし、ブログのようにタグ付けして記事を分類するような機能は持っていない。
インターネットには、ほかのウェブページで見つけたおもしろいコンテンツのリンク集を作っているブログがあるが、これと同じものを「より少ない労力で作れるのがtumbr.だ」と書くと理解しやすいかもしれない。
最短2クリックで記事を更新
コグレマサト氏と共に書籍『クチコミの技術』(日経BP社)を著した、いしたにまさき氏(ブログ“みたいもん”の筆者)は、
tumblr.の魅力は、とにかくブックマークレットが使いやすいことだ
と語る。
ブックマークレットとは、ウェブブラウザーのブックマークバーに登録して、手軽に機能を呼び出せるプログラムのことである。tumblr.の更新作業は、まず最初に“このブックマークレットをクリック”し、次に“登録するファイルのジャンルを選んで作成ボタンを押す”だけと至極簡単だ。
例えば“YouTube”の動画だったら、ブックマークレットで投稿画面を開いて“Video”タブを指定。“Create Video”ボタンを押すと、自分のtumbler.のページに動画を埋め込み表示できる。
この(1)ブックマークレットをクリック、(2)ボタンをクリック(場合によってはタブの切り換えでもう1クリック)という“最短ルート”で、気になったコンテンツを片っ端からメモできる手軽さが人気の秘密だろう。
RSSで複数のtumblr.を束ねることも
ブログ“Drift Diary12”の著者、drikin氏は
レイアウトを簡単に変更できたり、RSSを簡単に取り込めることもtumblr.の魅力だ
と語る。
彼は自身のtumblr.に写真共有サイト“Flickr”に投稿した写真をRSS経由で取り込んでいる。RSSは複数登録できるため、例えば複数のブログを書いている人が、各ブログのRSSをtumbler.に登録してひとつにまとめる、といった使い方もできそうだ。twitter同様、tumbler.に記事を書くと一緒にRSSが生成されるので、例えば複数のtumblr.をひとつのtumblr.にまとめるといった応用も可能だ。
いずれにしても、あらゆるチャンネルから、あらゆる楽な手段で投稿できる──。この“気軽さ”がtumblr.と一般のブログの大きな違いだ。
今後、こうしたトレンドが、日本に受け入れられるのか、それとも徐々に沈下して行くのかは気になるところだ。2つのサービスのRSSや、twitterの公開APIをうまく活用して、新しいマッシュアップのサービスが生まれるのかどうかも、これからのお楽しみだ。
筆者紹介─林信行
フリーランスITジャーナリスト。ITビジネス動向から工業デザイン、インタラクションデザインなど多彩な分野の記事を執筆。『MACPOWER』『MacPeople』のアドバイザーを経て、現在、日本および海外の媒体にて記事を執筆中。マイクロソフト(株)の公式サイトで執筆中の連載“Apple's Eye”で有名。自身のブログ“nobilog2”も更新中。オーウェン・リンツメイヤーとの共著で(株)アスペクト刊の『アップルコンフィデンシャル(上)(下)』も発売中。
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