すべて見せます！ 「iPhone 5」＆「iOS 6」総力特集 第17回

“5年目”を次のステージに導く「iPhone 5」—誰もが予想できなかった魅力を備えて堂々デビュー

iPhone 5の真髄
——誰も知り得なかった「最高レベルの質感と美しさ」

　今回、iPhone 5発表前に、製品に関する情報が事前に大量に流出していたため、インターネットでは「（今回の発表は）流出情報で見た通りで、何の新しさもない」という人がいる。しかし、その発言は恥ずかしいので今のうちにこっそりと消しておいたほうがいい。それはまるでスーパーの売れ残りのマグロのお寿司を食べて、本物の寿司職人が握ったマグロも分かった気になっているような、あるいは、写真だけを見て、話したこともなく性格も分からない方の人物像を語るような恥ずかしい行為だ。

　おそらく、世界中のマニアな人々が「すでに知っている」と思っていた形状ひとつをとっても、事前に流出していたプロトタイプの見た目と、最終的な製品の仕上がりとでは月とスッポンの違いがある。興味がある人は、画像検索をして、アップル公式サイトの写真と、流出写真を見比べてもらうといいが、それが面倒という方のために、撮影スタジオにたまたまスタッフが入手していたiPhone 5の事前流出モックのひとつが置いてあったので、これらを比べてみるといい。

iPhone 5とモックアップの比較写真。大量に流出していたモックアップは、所詮偽物にすぎない。配色や形が同じだからといって、このモックアップを見てiPhone 5を語るのは、自らをモノの価値が分からない人間と吹聴して回るような残念な行為だ

　ホームボタンの四角いマークが暗い色になり、黒モデルは正面から見ると真っ暗な黒いガラス板にすら見えるが、ダイヤモンドカットされたエッジがきれいに光のきらめきを放ち、まるで宝石か化粧品のボトルのような美しさに目を見はる。

本物のiPhone 5は、ダイヤモンドカットされたエッジがきらめきを放ち、非常に美しい

　そして、iSightカメラのレンズを保護するサファイヤクリスタルが放つ美しい光沢、その周りを囲むリング部分の工芸品のような美しさ。光沢のあるガラスとつや消しのアルミという異質のマテリアルが、まったく違和感を感じさせずひとつにつなげる作り込みの精巧さ、アルミ部分のつや消し処理の美しさと手触りの良さ。

iSightカメラのレンズを保護するサファイヤクリスタルの光沢に注目

　アップル デザイン部門のトップ、ジョナサン・アイブ氏が「これまででも最高レベルの精度で作った」という美しさの中に、最先端、最高品質のテクノロジーを隠し持っている——これぞ、まさにiPhoneの真骨頂だろう。

　インターネットに流出した画像は、言うなればこのiPhone 5を覗き見た人による（美しさの部分を省略した）下手な落書き程度のものだ。ほとんどは、アクセサリーメーカーが、発売後もできるかぎり早いタイミングで製品を用意できるようにスパイを送り込んで調達したものであるため、製品の寸法に関してはある程度マシなものの、質感に関してはいいかげんであることが多い（実はサイズに関してもカメラのレンズ位置などは微妙に本物と違う）。騒ぎたい気持ちは分かるが、「それがすべて」といわんばかりの騒ぎ方をしてしまうと、後で自分が恥をかくことになる。これは自戒を込めて、今後の教訓にしておきたい部分だ。