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こだわり機器を聞く、最上の試聴室めぐり 第6回

歴史の重みを感じた、2時間超の試聴取材

LUXMAN試聴室で、ハイレゾと真空管、両極端のサウンドを体験 (4/6)

2011年03月11日 09時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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現代ハイエンドの粋を凝縮した、Lightning SE

 今回のシステムはHi-Fiの観点でも大変魅力的で、スッキリ爽快に拡がる空間に、明確な音像が定位する。スピーカー性能の高さは、おそらくその実現に大きな貢献をしていたのだろう。

Lightning SEにはセラミック製のウーファー・ツィーターが採用されている

 まず、Lightning SEはトールボーイスピーカーとしては、比較的珍しい密閉型である。密閉型のスピーカーでは、ユニットが後ろに動いた際に背後に出る振動や箱の中で反射した音をどう処理するかが重要になる。通常は吸音材を使って、音の反射を防ぐのだが、このスピーカーでは吸音材を使わず、エアフロー・ダンピングという仕組みでスピーカー内部の反射音を減衰させるという。

背面には細いスリッドが用意されているが、これが内部での反射や箱鳴りを防ぐ秘密のようだ

 開発者のStefan Fekete氏は、ウィーン工科大学で航空力学を学んだ後、自動車やバイクのマフラーの開発に従事した経歴の持ち主。この異色の経歴を生かした、構造だけで音圧を消す技術がこのスピーカーの特徴だ。

 構成は、2ウェイ4スピーカー(ツィーター+トリプルウーファー)の構成で、ユニットはすべてセラミック製。特筆すべきは、音の立ち上がり。特にスパッと空間に現れる低域の速さは印象的だ。打楽器などの連打に対しても追従するし、微細な音まで克明に再現されるさまは、曇りなく晴れた空のように鮮明。

 コンセンサス・オーディオでは上位から2番目のモデルだが、一見すると、シンプルで素朴さを感じさせる外観なので、実は価格を聞いて驚いた面もあった。しかし、聴けば紛れもないハイエンドの音。現代的なHi-Fiサウンドを奏でる、非常に高性能なスピーカーである。

 基本は切れよくナチュラルな無色透明という印象。上流のシステムの変化に敏感に反応するが、こうした現代的なスピーカーに真空管を組み合わせると、上にのべたような明確な定位と緻密な情報量を持ちながら、爽やかさと透明感を兼ね備えた真空管システムの新たな顔を知ることができる。

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