ヤマハ試聴室で体験した、ネットワークオーディオ
NP-S2000が切り拓く、高音質再生の地平 (1/5)
2010年12月02日 11時00分更新
保守的な印象のある日本のオーディオ業界だが、最近になって急に「PCオーディオ」や「ネットワークオーディオ」と呼ばれる製品が注目されるようになってきた。
旧来の光ディスクではなく、CDからリッピングしたり、ネット配信で入手した音源を再生するオーディオ機器で、パソコンやNASなどに保存されたデータを活用する。USBやEthernetといったPCでおなじみの端子が、デジタル入力端子(S/PDIF)などと並び、ハイエンド機器に搭載されつつある。
日本でも本格的な普及期がようやく
もっともここで使われている技術は取り立てて新しいものではない。
USBオーディオ機器はパソコンの周辺機器としてはそれこそ10年以上の歴史がある。DLNA対応デバイスもこの4~5年でずいぶんと増えた。
機能・利便性・価格の安さなどに主軸を置いたゼネラルオーディオ的な製品から、音質の追究というHi-Fi的な目標を設定した専用機へと、開発コンセプトは変わっているが、HDDなど大容量の記憶装置にジュークボックスを作り、プレイリストを活用しながらアルバムをまたいだ再生をするという基本的な概念は変わらない。こうした新しいインターフェースに対応しうるデバイス側の技術が確立してきたという背景もあるのだろう。
国内市場を見てみると、ネットワーク対応、PC接続というコンセプトは、これまでAV機器(サラウンドアンプあるいは薄型テレビやゲーム機)が先導してきた。
ピュアオーディオに関しては、遅れた状況があるのは否めない。海外市場では、本連載の第2回で取り上げたLINN DSシリーズ(関連記事)を代表として、すでにかなり豊富な製品がリリースされているのに対して、国内では今秋当たりからオーディオ専用を謳う製品がチラホラと登場し始めたところだ。
とはいえ大手メーカーが本格的な製品を投入してきたことは大きなトピックスである。特に積極的な取り組みを見せているメーカーとして今回はヤマハを取り上げる。HDD搭載の単品コンポを古くから投入してきた同社だが、11月に「NP-S2000」という製品を発売(関連記事)。ネットワークオーディオの市場に本格参入した。評価も上々のようだ。
そこで今回は同社試聴室を訪問し、ネットワークオーディオの持つ音質的な利点と、キャラクターの違いを改めて体験してみることにした。
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