「情報を100パーセント正しく見分ける方法は、多分ないと思いますよ」
―― 反社会学講座についてもうひとつ思ったのが、「今こんな由々しき事態に陥っている」という説に対して、「別に昔から変わらないよ」とツッコむケースが多い点です。実際、変わっていないものですかね。
パオロ 調べてみると、そういう場合が多いですよね。たとえば、10年くらい前にフリーターが問題になっていたけど、昔はどうだったか調べてみて、江戸時代にもフリーターがたくさんいたことが分かったり。あと、最近はネットの匿名性がなんだで炎上が多いという話もありますけど、3~40年前は、直接その人の家の窓に石を投げ込む人がたくさんいたわけですよ。その手法がネットに変わっただけだと思います。まあ、炎上の対象が見つかりやすくなったというのはあるでしょうけど。
だから、道具の流行りすたりはあれど、基本的にやってることは同じですよね。最近の若い奴も昔の若い奴も。
―― 今、「やっぱり、そうなんだ」と安心しそうになりました(笑)。けど、耳に心地いい説を聞いて思考停止したら、学者さんの言説を判断なしに受け入れるのと同じになってしまいますね。
パオロ その通りです。サイトでも、私の論を鵜呑みにされるのは嫌で、早い段階から、「信じるな」みたいなことを書いているんですよ。でも、たまに信者的な人からメールをもらいます。それで多少苦言を呈するような返事を送ったこともありますね。
もちろんファンでいてくれることはすごくありがたくて嬉しいんですが、それ以上になってしまうとちょっと嫌だなというのはあります。私のことは、面白いおっさんだなくらいに思ってくれればいいんですけどね。
―― 情報の受けとめ方や検証の方法について、コツみたいなものはありますか?
パオロ あー、それは実は一番難しいところだと思いますよ。色々な情報から正しい情報を見分けられないと、ネットは使うべきじゃないみたいな論調もあるじゃないですか。でも、そういう人に「あなたはどう見分けてるの?」と聞きたいくらいですよ。自分がもとから詳しい情報なら多少は基準が作れるんでしょうけど、全然知らない分野の情報はどうするのって。
ネットに限らず、新聞、テレビ、本……。それらの情報を100パーセント正しく見分ける方法なんて、たぶんないと思いますよ。ひとつの方法として「一見正しいと思われることでも疑ってみよう」というのはあります。でも、それだけじゃ不十分なんですよ。疑うだけで「あれは嘘だ、常識も嘘だ」というところに安住してしまう。だから、セットで「一見嘘だと思われている事も実は正しいんじゃないか」ということも考えないといけないんです。そして、この2つを改めて検証していく必要がありますが、そんなこと実際にはなかなかできないですよね。
―― うーん、魔法はないということですね。では、最後に今後の目標を教えてください。
パオロ 基本的には本を書くということを一番の中心の仕事にしたいと思ってるので、それを続けていきたいと思います。サイトのほうは、今までと同じように月一ペースでその時々に思ったことを軽く書いていく感じで続けていくでしょう。でも、サイトで書いたことをもっと膨らませて本に使うということも考えていますけどね。
![]() | お会いしたパオロ氏は、気取らない柔和な紳士といった印象だった。ユーモアセンス以上に、ライフワークに対するストイックさが印象に残っている。写真代わりの画像は「反社会学」の表紙部分。吉田戦車氏がイラストを手がけている |
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