変革のきっかけはVividUI
そんな昨今の端末の流れの中で、ケータイとしてタッチパネルを搭載することの難しさを感じざるを得ない。しかし、そこに果敢に挑戦している日本のケータイメーカーがシャープだ。同社のSH906iは、これまでの片手で使えるケータイとしての快適さに加えて、タッチパネルの使い勝手の良さを加えようとしている。
「ケータイの歴史の中でシャープは、カラー化、カメラ搭載、ワンセグ搭載など、先進の機能を業界に先駆けて搭載してきました。ポケットの中に入っているモノをすべてケータイに入れる、がコンセプトです。しかし、多機能の弊害としてユーザーインターフェースに使いにくさが生じてしまいました」(木戸氏)
そういった状況にメスを入れたのがSH903iなのである。まずソフトウェア面ではインターフェースをカスタマイズできるエンジン「Vivid UI」を採用し、固定メニューからユーザーが使いやすいメニューを選べる仕組みを導入。そしてSH904iからは「タッチクルーザー」を採用した。十字キーの上にタッチセンサーを用意し、ノートPCのトラックパッドのような操作方法で、メニュー操作やi-modeサイトのスクロールなどをこなせるようにしている。
「SH906iでは、光タッチクルーザーを新たに開発しました。いままで十字キーとは別の場所にタッチセンサーがあり、分離した方が分かりやすいと考えたのです。さらに十字キーから手を離さずに利用できるように、決定キーに光センサーを仕込んで通常のケータイの使い方でインターフェースを改善しました」(木戸氏)
実はVivid UIの搭載は、シャープ端末にとって、インターフェースを変革する転機になったそうだ。
Vivid UIはユーザーが好きなメニュー画面をダウンロードしてインターフェースを変更できる仕組みで、様々なキャラクターやブランドなどとのコラボレーションが生まれている。新たなケータイコンテンツのフィールドに成長を遂げているのだ。しかし、プリセットされたメニュー以外のデザインを導入すると、ボタン入力とメニューの動きが一致しないデザインも存在している。
「例えば、横1列に並ぶメニューであっても、十字キーの下でスクロールをさせなければならなかったり、左右に散らばったメニューに飛び飛びでフォーカスされたり。カスタマイズは楽しいのですが、中には使いにくいものもあります。メニューの問題でも、ユーザーには使っている端末が使いにくい、といった認識を持たれてしまいます。そこで、十字キーやテンキー以外のインターフェースを取り入れる必要性が出てきました」(木戸氏)
その答えの1つが光センサーにまで進化したタッチクルーザーであり、SH906iに搭載されたタッチパネルなのだ。
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