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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第33回

「家族に怒られながら作った」ウェブ図鑑、昆虫エクスプローラ

2008年09月15日 09時00分更新

文● 古田雄介

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サイト検索機能を革命的に変えた「見た目検索」

── 個人的に昆虫エクスプローラ一番の特徴と思っているのは「検索手段の豊富さ」です。分類や名前から探すのは一般的ですが、見た目やよく見られる季節からたどれるものはなかなかありません。

川邊 ありがとうございます。最初は一般的な学術上の分類による図鑑形式と、「池の中」や「草やぶ」といった「環境から探す」という手段だけ用意していたんです。

 それから、季節、名前から探すというのを増やして、2006年の冬に見た目から探せる「虫マトリックス」というページを加えました。そういった機能を増やすのは、冬がチャンスなんです。虫にとってのオフシーズンなので、むし探検広場の質問も少なく、まとまった更新ができるんですよ。

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虫マトリックス。虫の体でもっとも面積が広い色と次に多い色、そして虫のおおよそのサイズによって、該当する虫の解説ページを表示する仕組みだ

── 虫マトリックスを作ったのは、どんな理由からですか。

川邊 何となくの見た目で目的の虫を探せるようにできればと思って作りました。むし探検広場には「こんな虫見付けましたが、何の仲間かも分かりません」という質問がよく届くんですよ。

 例えば、背中が光っている小さな虫を見つけたとしても、虫に詳しくない人だったらそれがコガネムシの仲間かカメムシの仲間かを判断するのは難しいですよね。そうやってたまたま虫を見つけたときに正体を知ろうと思ったら、見た目から探れる方法が一番てっとり早いと思ったんです。


── 見た目のあいまいな情報から検索する仕組みは「動物じゃんぐる」の「フィーリングでさがす」というコーナーにも使っていますね。

川邊 そうですね。「フィーリングでさがす」は2007年の冬に作ったんですよ。ちょうど東京に引っ越してきたばかりだったので、こちらの動物園をたくさん回ったんです。それで動物の写真も増えたから、ついでに検索する方法も追加したいなと思いまして。

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動物じゃんぐるの「フィーリングでさがす」コーナー。川邊氏の印象によって、分類を問わずあらゆる動物が振り分けられている


── ネット全体でみると、見た目や印象から何かを探す手段が意外と少ないんですよ。文字から画像というのはたくさんありますが。そういった点で、川邊さんの検索機能はすごく便利だと思います。

川邊 そういわれるとうれしいですね。昆虫にしても動物にしても、普通に見るだけなら学術上の分類とかは気にしないですからね。「フィーリングでさがす」については「自分が色々な動物を見たときにまず最初に何を感じるか」という点に着目しました。

 そうすると、「なんとなくヘンやなあ」や「可愛いなあ」といった印象だったんです。個人の偏りがあるかもしれないけど、そういうフィーリングをもとに探すことができれば、読者にも喜ばれると思いました。

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