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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 ― 第28回

フルハイビジョンなんていらない

2008年08月05日 09時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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「アナログ」表示は不愉快


アナログの文字
NHKの地上アナログ放送では、右上に「アナログ」の文字がうっすらと乗るようになった

 この頃、テレビをほとんど見なくなった。画面の右上に「アナログ」といういやがらせの表示が出るのが不愉快だからだ。

 わが家のテレビは9年前に3万円弱で買った21インチのブラウン管テレビだが、別に画質が悪いと思ったことはない。しかし政府が画面表示で「買い換えろ」と強要する地デジというのはどういうものか、近所の電気店に確かめに行った。

 店に並ぶ数十台の平面テレビを見た第一印象は、「不自然な絵だな」ということだ。私は20年前にNHKの(アナログ)ハイビジョン開発番組を作ったころからこういう映像を見てきたが、テレビの画質は解像度だけで決まるものではない。視聴者にいろいろな条件の映像を見せると、違いが一番感じられるのは色温度(赤っぽいとか青っぽい)で、次がコントラスト。解像度というのは、30インチ以下のモニターではほとんど分からない。



地デジの映像は不自然


 最近の平面テレビは、解像度の高さを強調するため輝度を上げ、コントラストを強めているので、映像がどぎつい(外の風景と比べると分かる)。また店頭では、北京オリンピックに期待してスポーツ番組が映されていることが多いが、こういう動きの速い映像は地デジのアラが最もはっきり出る。特に野球で打球を追うようなとき、観客席を見るとブロックノイズ(映像がブロック状に固まる)が出る。

 たしかに地デジの映像は情報量は多いが、普通の目で見るときと違う不自然なノイズが出るので目ざわりだ。わが家の古いテレビのほうが、シャープではないが映像としてずっと自然なのだ。これは、かつて郵政省がMUSE(アナログハイビジョン)からMPEG-2(現在のHDTV)に変更する方針を打ち出したとき、NHKの技術陣がMPEGを批判した最大の問題点だった。MPEG-2は過渡的な圧縮方式で、技術的には過去のものだ。

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