利用者を増やすWindows版Safari
2007年12月現在、このSafariが、使われているのはMacとiPhone、iPod touchの3製品だと思っている人も多いかもしれない。しかし、実は今年6月にWindows用の公開ベータ版がリリースされ、米国では利用者が増えている。
日本では公開当初、「mixi」や「Yahoo!」がきちんと表示されないという問題があったためそれほど利用が広まっていないが、11月中ごろのアップデートでついに日本語にも対応している。「文字表示がきれい」など、評判も上々なようだ。
広がる「Safari/WebKit陣営」
Safari採用の動きでは、もう1つ注目すべき事柄がある。
実はSafariは「Konqueror」というオープンソースのブラウザプロジェクトがベースとなって誕生したもの。アップルはSafariの基盤部分を「WebKit」という名のオープンソースプロジェクトとして公開しているが、最近、ケータイの世界でこの「WebKit」の採用が急速な勢いで広がっているのだ。
世界のケータイ電話市場では、ノキア、サムスン、モトローラ、ソニー・エリクソン、LG電子が5強と言われている。IDCが8月に発表した世界の携帯電話マーケットシェア(関連サイト)では、この5社の製品が世界市場のほぼ80%を占めている。会社別シェアは多い順にノキアが37.0%、サムスンが13.7%、モトローラが13.0%、ソニー・エリクソンが9.1%、LG電子が7.0%だ。
ここで驚くべきは、この5強のうち、ソニー・エリクソンを除く全メーカーがSafari/WebKit陣営に入っている点だ。
まずノキアは、2006年5月に発表した「Nokia S60 3rd Edition」より、「S60WebKit」をベースにした「Nokia Web Browser」の採用を始めている(関連記事1)。
実はこれに加え、グーグルを中心とした「Open Handset Alliance」という企業連合が推進しているケータイ規格「Android」(関連記事2)でも、ウェブブラウザーに「WebKit」を採用した。そして、このOpen Handset Allinaceには、5強メーカーのうちサムスン、モトローラ、LG電子の3社が名を連ねている。さらに、最近、スマートフォン市場で急速にシェアを伸ばしつつあったHTC社も参加している。
つまり、急速に勢いを伸ばすiPhoneとHTC社に加え、5強メーカー中、ソニー・エリクソンを除く4社がSafari/WebKitを採用することになるわけで、来年後半以降、ケータイ電話市場でのウェブブラウザーシェアは激変することになるだろう。
(次ページに続く)
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