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建築現場でkintoneを使うための鍵は画面遷移?

デブサミで聞いたソウルウェア、ジョイゾーのkintone開発事例

2017年03月08日 08時30分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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 2月16日~17日、今年も目黒雅叙園でソフトウェアエンジニアの祭典「Developer Summit(デブサミ2017)」が開催され、2日間で約3300人が来場した。

 デブサミで毎年恒例となっているサイボウズ提供の休憩スペース「kintoneカフェ」。2017年はジャングルをイメージした広い一室に、無料のバナナとドリンク、充電用の電源が用意され、セッションの合間にちょっと腰を下ろしてくつろげるコーナーが設けられた。その奥で、kintoneのハンズオンと事例セッションが行われた。

 1日目の事例セッションには、kintoneのSIパートナーであるソウルウェア 代表取締役の吉田超夫氏、ジョイゾー 代表取締役の四宮靖隆氏が登壇。サイボウズ kintoneプロダクトマネージャーの伊佐政隆氏をモデレーターとして、2社が実際に扱ったkintoneの開発導入事例を紹介した。

SIの在り方を変える「kintone革命」、同志のパートナーは276社に

 kintoneは、サイボウズが2011年に提供を開始したaPaaS(Application Platform as a Service)と呼ばれるジャンルのクラウドサービスだ。メインターゲットユーザーを、エンジニアではなく現場の業務担当者に定め、ノンプログラミングで自らが使う業務システムを作れる仕様になっている。5500社を超える導入企業のうち、「その契約の約8割を業務部門が占めている」(伊佐氏)という。

サイボウズ kintoneプロダクトマネージャーの伊佐政隆氏

 また、サイボウズは「kintone革命」と題して、SIパートナー各社と共にkintoneを使って日本の古い受託開発の在り方を変革していくことに取り組んできた。業務システムの開発を外部のSIerに丸投げするのではなく、ユーザーとSIerが一緒にユーザーインターフェースや仕様を相談しながら開発を進める新しいSIだ。開発工数をかけるほど金額が増える従来の受託開発とは異なり、「とにかく早くお客さんに使ってもらえるものを作る」(伊佐氏)。

 kintoneを基盤に、この新しいSIでビジネスをするパートナーは276社(2016年末時点)にまで拡大している。今回登壇したソウルウェアとジョイゾーも、kintoneで新しいSIサービスを提供しているパートナー企業である。

“管理画面のあるプラグイン”でアジャイル開発を加速

ソウルウェア 代表取締役の吉田超夫氏

 ソウルウェアは、2012年12月に創業したWeb開発企業。高度なJavaScriptのスキルを持ったエンジニアが多数在籍し、kintoneを使ったシステム開発では特にJavaScriptを駆使した画面カスタマイズに強みを持つ。吉田氏が紹介したのは、昭和10年創業の生コンクリートメーカーである會澤高圧コンクリートのシステム開発事例だ。3回にわたり、開発を共にした。

 最初に手掛けたのは、kintoneでコンクリート杭の打設作業を管理するアプリケーションの開発だ。現場の作業員が、杭の打設位置、打設状況、現場スケジュールを入力するためのシステムにおいては、「複数の画面遷移を伴わないカスタマイズが前提だった」と吉田氏は言う。

 kintoneの標準UIでは、複数のアプリへデータ入力をする場合に複数の画面遷移が生じる。「1つの現場で100~200本分もの杭のデータ入力が発生するので、標準仕様のままでは1000回くらい画面をいったりきたりしなくてはいけない」(吉田氏)。そこでソウルウェアは、画面を親アプリに固定したまま子アプリがポップアップで起動する形にカスタマイズし、数字の入力が簡易になるような電卓式の入力インタフェースを追加した。

建築現場で使いやすいように入力UIをカスタマイズ

 ソウルウェアの画面カスタマイズのノウハウを詰め込み、ほぼ完成していたこのコンクリート杭管理システムだが、残念ながら日の目を見ることは無かった。2015年に、杭打ちデータの改ざんによってマンションが傾斜した事件は記憶に新しい。この事件に端を発して杭打ちデータ改ざんの問題が次々と発覚し、建設業界全体で杭打ちの管理体制を見直す動きが強まった。これを受けて、會澤高圧コンクリートはkintoneでのシステム開発プロジェクトを一旦ストップした。

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