軽いゲームに対する救済策
「DSR」
ゲームを高画質で遊ぶ場合、「Watch Dogs」のようなハイエンドGPUを要求するゲームにターゲットを合わせると「League of Legends」や「ファイナルファンタジーXIV」のような描画が軽いゲームだと性能(投資)を無駄にしてしまう。
このミスマッチを解消するNVIDIA独自の方策が「DSR」こと“Dynamic Super Resolution”、日本語版では「スーパー解像度」と訳される機能だ。
この機能はゲームを超高解像度(4Kなど)でレンダリングした後に、画面解像度に合わせて縮小表示することで、本来の解像度では潰れてしまうディテールが見えるようになるというもの。
フルHD液晶を使っているなら4K(3840×2160ドット)でレンダリングし、それをフルHDに当てはめて表示できる。もちろん単に縮小するだけでなく、変なジャギーなどが出ないようスムージング処理も適用したうえでの処理だ。
上の画像は「ダークソウル2」での1シーンだが、細く尖った草の葉が所々途切れているのが分かるだろうか? 視線を動かすたびに途切れる場所が変化するため、実際に動かすとチラチラして不快だが、DSRを有効にするとこれが消え、細かい描写も鮮明になるというわけだ。
これまでもユーザー作成のMODで画質を向上させるものがあったが、NVIDIAはこれを機能の一部として取り込んだわけだ。この機能はゲームに対し透過的に働くため、ゲーム側の対応は必要ない。ただゲーム側の解像度の上限が低いと動作しないという制限はある。例えばゲーム側の解像度が仕様上1920×1080ドット止まりの場合、フルHD液晶では4倍のDSRは選択できない。
もちろんDSR使用中はGPUの負荷も相応に上昇する。今回試した4K相当の画質にするならば、GPU負荷も4K出力するのと同じ負荷がかかる。さらにスケーリングの負荷も上積みされるが、この負荷は全体の数%程度と小さい。
今後第2世代Maxwellを使ったミドルレンジGPUが出てくると予想できるが、GTX980よりもスケールダウンしたGPUでDSRがどこまで使えるかは疑問が残る。ただGTX980のようなハイパワーGPUの活用法としては非常におもしろい。
ベンチ環境は?
そろそろウンチクは止めにして、性能の検証に入ろう。今回はGTX970のサンプルボードが入手できなかったため「GTX980 vs. 過去のハイエンドGeForce」という対決をさせてみたい。検証環境は以下のとおり。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | Intel 「Core i7-4790K」(4GHz、最大4.4GHz) |
マザーボード | ASRock「Z97 Extreme6」(Intel Z97) |
メモリー | Corsair「CMY16GX3M2A2133C11」(DDR3-1600で使用、8GB×2) |
SSD | Crucial「CT512M550SSD1」(512GB) |
ビデオカード | GeForce GTX 780 Tiリファレンスカード MSI「N780GTX Twin Frozr 4S OC」(GeForce GTX 780) GeForce GTX 680リファレンスカード |
電源ユニット | オウルテック「AU-850PRO」(850W、80PLUS GOLD) |
OS | Windows 8.1 Professional(64bit) |
グラフィックドライバー | AMD_Cape_Verde_8.932.2_Win73(Radeon HD 7770/7750) AMD Calalyst 12.1(Radeon HD 6770) Force Ware 285.62(GeForce GTX 550 Ti) |
なお、比較用のGTX780だけリファレンス版の入手が間に合わなかったため、オーバークロック版を使用している点はご容赦いただきたい。
→次のページヘ続く (高性能なのに省電力)
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