2015年6月1日、NVIDIAは第2世代Maxwellベースの新ハイエンドGPU「GeForce GTX 980Ti」(以下、GTX980Tiと略)を発表した。
第2世代MaxwellベースのハイエンドGPUは昨年9月にリリースされた「GTX980」、そして今年3月にはフラッグシップモデル「TITAN X」と進化してきたが、TITAN XとGTX980の間には大きなスペックのギャップがあり(後述)、いかにもTiモデルが出そうという気配が濃厚だったが、それが現実のものになったわけだ。
本稿を執筆しているのは5月末、まだライバルAMDがどういう製品を発表するのかもわからぬ状況だが、これまでの流れ的にAMDの新GPU(Radeon R9 390X)に合わせて発表したと考えるべきであろう。
NVIDIAは今回のGTX980Tiを「最新ゲームを4Kで遊ぶためのGPU」と位置づけている。TITAN Xも4K志向だったが、あの時は“MAX OUT”、つまり最高画質で遊ぶためのGPUと位置づけられていたのに対し、GTX980Tiでは“プレイアブルなフレームレートが出る”というアピールにとどめている。このあたりが価格設定や後述するスペックに反映されているのだろう。
今回も運良くGTX980Tiのリファレンスカードを入手することができた。早速各種ベンチを通じ、GTX980Tiの実力をチェックしてみたい。
TITAN Xがベース、VRAMは6GBへ
まずはGTX980Tiの基本的スペックを確認してみよう。GTX980Tiの開発コードはGM200ということからわかる通り、TITAN Xをベースにコストダウンのため少々スケールダウンした形になっている。
各ビデオカードの比較表 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
GeForce GTX TITAN X | GeForce GTX 980Ti | GeForce GTX 980 | ||||
アーキテクチャー | GM200(Maxwell) | GM200(Maxwell) | GM204(Maxwell) | |||
製造プロセス | 28nm | 28nm | 28nm | |||
ストリーミング プロセッサー数 |
3072基 | 2816基 | 2048基 | |||
コアクロック | 1000MHz | 1000MHz | 1126MHz | |||
ブーストクロック | 1075MHz | 1075MHz | 1216MHz | |||
テクスチャー ユニット数 |
192基 | 176基 | 128基 | |||
ROPユニット数 | 96基 | 96基 | 64基 | |||
メモリー転送レート (相当) |
7GHz相当 | 7GHz相当 | 7GHz相当 | |||
メモリータイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | |||
メモリーバス幅 | 384bit | 384bit | 256bit | |||
メモリー搭載量 | 12GB | 6GB | 4GB | |||
TDP | 250W | 250W | 165W | |||
外部電源 | 8+6ピン | 8+6ピン | 6ピン×2 |
一見してわかる通りGTX980TiとTITAN Xはスペックが近い。TITAN Xから変化している点だけをピックアップしてみると、以下の通りとなる(左がTITAN X、右がGTX980Ti)。
TITAN Xとの違い
- CUDAコア:3072基→2816基
- テクスチャーユニット:192基→176基
- 搭載メモリー量:12GB→6GB
ROPは据置きなのにテクスチャーユニット数が減っていること(減少率は約8.4%で、これはCUDAコア減少率に等しい)。そしてメモリーバス幅据置きなのにメモリー搭載量は半減している。
さらにコア・ブーストクロックはTITAN Xとまったく同じであるためTDPは250Wで変化なし。PCI-Express 8+6ピンの外部電源でTDP250Wに収めるため、クロックを上げたくても上げられなかったことが伺える。
(→次ページヘ続く 「メモリー周りの速さでGTX980を圧倒」)
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