より薄く軽い新ノートカテゴリー「Ultrabook」
マローニ氏とエデン氏の講演で、インテルがこれから目指す新しいパソコンのカテゴリーとして強調されたのが、「Ultrabook」である。2cmを切る薄さと長時間のバッテリー駆動に加えて、スリープ・休止からの復帰の速さやセキュリティーの強化などを含めた、言うなれば次世代のモバイルノートの姿を定義しようというものである。
2008年に、Atom搭載の低価格ノートパソコンを「ネットブック」と定義したのもインテルであったが、モバイルノートでも新しいカテゴリーを創造しようというようだ。
UltrabookはIvy Bridgeを待つことなく、現行の第2世代Coreプロセッサーを搭載するノートから登場する。30日に発表された、ASUSTeK Computerの「UX」シリーズはその典型だ。現行世代の超低電圧版Core i5を採用しながら、最厚部でも17mmの薄さを実現している。ASUSTeK以外にも、レノボやサムスン電子、Compalなどから、Sandy Bridge世代のUltrabookが登場するもようだ。
Ultrabook向けのCPUでは、消費電力をさらに低減する「コンフィギュラブルTDP」という仕組みも導入される。Core i7/i5に搭載されているターボ・ブースト・テクノロジーは、TDPの余裕に応じてCPUを必要に応じてオーバークロック動作させることで、処理能力を向上させる機能である。コンフィギュラブルTDPは逆に、使用状況に応じて通常よりもTDPを下げることで、CPUの消費電力を下げる。
現在のインテルCPUが搭載する省電力技術「SpeedStepテクノロジー」は、CPUごとに動作周波数の下限とTDPが固定されていた。コンフィギュラブルTDP対応CPUでは、これがさらに柔軟に設定できるようだ。例えばノートパソコンをバッテリー駆動させている場合には、AC電源で動作させる場合よりもTDPを下げて、アイドル時の消費電力を減らす。その場合でも、処理能力が必要とされたらターボ・ブーストによって高速動作させることも可能であるため、ユーザーの体感速度に悪影響は出ないもようだ。
マローニ氏は講演の中で、「Ultrabookは2012年末には、コンシューマー向けパソコン市場の40%に成長する」と述べた。インテルの期待と自信の大きさがうかがえる。
2013年には新CPUアーキテクチャー
「Haswell」が登場!
Ultrabookに向けたインテルの強力な取り組みがうかがえるのが、2013年のUltrabookを構成する低消費電力のCPUアーキテクチャー「Haswell Core Micro Architecture」(Haswell)である。
現在のノート向け通常電圧版の第2世代Coreプロセッサーは、TDPが35Wである。一方Ultrabook向けCPUは、10W台後半(超低電圧版Core i5は17W)を指向している。HaswellはUltrabookの領域をターゲットに、一般的なノート用CPUの消費電力域(40W以下)までをカバーするCPUとされている。ただし、Atomのような組み込み向けを視野に入れて性能を犠牲にしたCPUではなく、あくまでパソコンとしての処理能力をキープしたCPUとなる。
Haswellのアーキテクチャー自体の詳細については語られることはなかったが、近い将来のノートパソコンを面白くしてくれそうなCPUとなりそうだ。
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