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大河原克行が斬る「日本のIT業界」 第18回

レノボ×NEC提携を考える──国産の終焉? 世界へ日本の技術が?

2011年01月28日 12時30分更新

文● 大河原克行

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レノボにメリットはあるのか?

 一方、レノボにとっても、日本でのビジネス基盤を強化できる点でのメリットは大きい。

 「日本では、過去6四半期に渡って、業界最速の成長を遂げ、7四半期でシェアを2倍に拡大した」と、レノボグループのユアンチン・ヤンCEOは語るが、それでも国内シェアは5%前後に留まっており、グローバルシェアが10%に届こうとしているのに比較すると後れは否めない。

 「今回の提携によって、日本でのシェアは26%に達し、日本におけるマーケットリーダーとしてのポジションが強固なものになる」と、ヤンCEOは語る。

 とくにレノボ・ジャパンが苦戦していたのが、官公庁などの公共分野。昨年度のスクールニューディールでは、公共分野に強い、NEC、富士通が健闘し、外資系メーカーはその裏返しでシェア減少を余儀なくされた苦い経験がある。レノボ・ジャパンも、その1社だ。

 だが、今回の提携によって、レノボ・ジャパンがこれまで弱いとされていた公共分野への展開が補完できるようになるのは大きいだろう。

 さらに、レノボ・ジャパンは、2009年から、一部製品で展開していた直販体制を廃止し、パートナー販売に一本化してきたが、地方都市への広がりなどでは苦戦を強いられていた。

 これも日本全国に幅広い販売網を持つNECとの連携によって、足がかりをつくることができる。

 「生産、販売網において、短期的に統合することは考えていない」とヤンCEOは語るが、日本における流通面でのシナジー効果は、即効性があるものとして、レノボにとって大きなメリットとなる。


補完関係になりうると言うが

 NECの遠藤社長は、「今回の提携は、お互いに補完できる部分が多いもの」と指摘する。

 日本における地盤を強化したいレノボと、調達メリットなどを背景として収益性を改善し、アジアなどに進出する日本の企業をサポートしたいとするNECにとっては、まさに思惑が一致するといえる。

 「レノボ以外との提携は考えていなかった」(NECパーソナルプロダクツ・高須社長)という言葉からもそれが裏付けられる。

 実際の効果が得られるのは、合弁会社が設立される6月以降だろう。

 NECとレノボの今回の提携は、双方にとって、どんなメリットを、どんな規模で生み出すのか。1+1が2以上になることを期待したい。

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