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まずは個人向けサポートの充実から

「米沢は変わらない」と強調、NECとレノボの合弁会社が発足

2011年07月04日 16時56分更新

文● TECH.ASCII.jp

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 7月4日、「NEC レノボ・ジャパン」グループの発足が、レノボ・ジャパン、NECパーソナルコンピュータの両社から正式に発表された。かねてからアナウンスされていたNECとレノボの合弁会社・Lenovo NEC Holdings B. V.が7月1日に発足したことを受けたもの。これは既報のとおり、出資比率がレノボ51%、NEC49%の持ち株会社であり、傘下に100%子会社として、日本法人のレノボ・ジャパンとNECパーソナルプロダクツのPC事業が独立した新会社・NECパーソナルコンピュータを収める。

合弁会社の会長を務めるロードリック・ラピン氏(左)と社長の高須 英世氏(右)。ラピン氏はレノボ・ジャパンの代表取締役会長、高須氏はNECパーソナルコンピュータの代表取締役執行役員社長を兼任している

 新生NEC レノボ・ジャパングループでは、今後も「Lenovo」と「NEC」という2つのパソコンブランドが残るが、最短3日でカスタマイズに対応するNECのスピード感、グローバル規模の調達によりコストメリットを得られるレノボの供給体制など両社の強みを生かした製品開発・営業活動を実施していく。

 同時に特に個人向け製品では、カスタマーサポートを強化。NECブランドの製品では2012年1月から従来2年目以降は有償だった「使い方相談」を無償にするとともに、Lenovoブランドの製品のサポートもNECパーソナルコンピュータが受託する形になるという。

 Lenovo NEC Holdingsの社長に就任した高須英世氏は、会見でまだ正式な形で合意が取れていないとしつつも、自身の考えとして「現在25%あるシェアの圧倒的な拡大を図り、中期的=3年かそのぐらいのうちに、30%程度のシェアを得たい」と表明した。

 一方会長に就任したロードリック・ラピン氏は「最優先は日本市場でのパソコン事業の成功」としながらも、ほかの事業分野での協業や日本発の製品をグローバル市場に展開していくことへの野心を示した。大枠としては、過去に実施したインタビューに沿った内容(関連記事)であるが、NECの開発拠点であった米沢事業所に関しては引き続いて投資を続けるなど、現体制の維持を強調した。

 なお、NECパーソナルコンピュータは「商品企画・開発」「調達」「生産」「販売」「サービス・サポート」を一貫して手がける従来の事業体制を維持しつつ、「商品企画・開発」「調達」「サービス・サポート」の3つのプロセスに関してはレノボとの協業を深めていくという。特に調達に関しては、グローバルでの共通化できる部材はレノボから受ける一方で、BDドライブやチューナーカード、加工技術など付加価値を出すために必要な先端部材に関しては引き続きNECが独自に調達する。逆に傷が付いても自動的に修復する塗装技術「スクラッチ・リペア」などNECの持つ技術をレノボの製品に展開するといったことも視野に入っているようだ。

 一方法人向けの販売に関しては、現状で大きく手を入れていない。これには公正取引委員会からの正式な承認が5月27日までかかった点、法人向けのビジネスはパートナーによって支えられている側面が強いこともあるのだろう。

 会見には、ゲストスピーカーとして日本マイクロソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏とインテル 取締役 副社長の宗像義恵氏が登壇した。いずれも両社の提携により、日本に新しいパソコン市場が創出される点に期待感を示すものとなった。マイクロソフトの樋口社長はNECとの思い出として30年以上前にアルバイトして購入したTK-80シリーズに言及する一幕もあった。

 ラピン会長は、過去の発表会でも言及されたように、クラウド・エンタープライズ・テクノロジー・携帯電話といったパソコン以外の分野での協業にも期待を示した。全体を通しては、本格的な提携の開始から時間があまり経っていないということもあり、様子見という側面が多分にあると感じたが、両社の戦略的な提携が日本のパソコン市場に新しい風を吹き込むのかどうかは、注目していきたい部分だろう。

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