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大河原克行が斬る「日本のIT業界」 ― 第33回

ゲームビジネス開始後、初の営業赤字

任天堂はゲーム人口拡大の主役に返り咲けるのか?

2012年05月08日 09時00分更新

文● 大河原克行

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編注:記事内では任天堂ウェブサイトの2012年4月27日(金)決算説明会‐質疑応答から引用している部分があります。詳細は下記関連サイトをご覧ください。

 任天堂が発表した2011年度の連結業績は、売上高が前年比36.2%減の6476億円、営業損失が前年の1710億円の黒字から一転して373億円の赤字。経常損失も1281億円の黒字から608億円の赤字となり、当期純損失では776億円の黒字から、432億円の赤字に転落した。

 売上高は2年前の2009年度の1兆4343億円と比較して半減。3年前の1兆8386億円と比較すると3分の1近くまで減少している。

ニンテンドー3DS

 そして、任天堂がゲームビジネスを開始して以来、初の営業赤字転落という事態に陥っている。わずか2年前まで2000億円を超える最終利益を確保していたのに比べると、その落ち込みぶりは驚きだ。

 業績悪化の最大の理由は、ニンテンドー3DSにある。

 任天堂の説明では、ニンテンドー3DSの販売台数は全世界で1353万台に達し、2012年2月に達成した500万台までの到達速度では、国内において過去最速だったとする。

 しかし、2011年2月26日の発売以降、売れ行きは決して好調ではなかった。発売から約2週間後に発生した東日本大震災の影響も売れ行きを鈍化させることにつながったといえ、これにソフトウェアの発売の遅れが重なった。

 2011年8月に、価格を2万5000円から、1万5000円へと、4割引ともなる大幅な値下げを行ったことで、ようやく売れ行きに加速がついた。

 だが、この値下げ効果も手放しでは喜べない。値下げに伴う在庫補償の問題に加え、現時点では赤字での販売を余儀なくされる状況が続いており、この「逆ざや」が解消するのは2012年度上期。それまでは、3DSは赤字の元凶という状態が続くことになる。

 「一度失った勢いを盛り上げるというのは、ゼロから勢いをつくるよりもはるかに難しい、これぐらいのことをやらなければ勢いが取り戻せない。大変痛みを伴ったが、必要だった」と、任天堂の岩田聡社長は、ニンテンドー3DSの値下げ措置を振り返る。

 さらに、円高で277億円の為替差損を計上した影響や、WiiやニンテンドーDSが、世界的に販売数量が減少したこと、これらハードウェアの値下げへの取り組みも、業績悪化に影響した。

 岩田社長は、「ニンテンドー3DSをあるべき普及の軌道に戻すために大幅な値下げをしたこと、期前半に有力タイトルがタイムリーに発売できなかったことなどが重なり、任天堂がゲームビジネスをはじめて以来、初めて通期営業赤字に陥るというもっとも厳しい状況になった。経営責任者として大変重く受け止めている」と語る。

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