パソナニックが3Dテレビ事業を加速させようとしている。
2010年4月21日に、国内電機メーカーとしていち早く3DテレビとBlu-ray 3D再生対応BDレコーダーを市場投入(関連記事)。3Dテレビでは、当初は、50V型、54V型のみだったものを、5月には65V型、58V型の大画面モデルを追加。7月30日には、46V型、42V型を新たに投入。さらに、8月27日には、Blu-ray 3D再生対応のBDレコーダーと500GB HDDを内蔵した製品を46V型、42V型のラインアップとして追加(関連記事)。
ほぼ毎月のように新製品を投入するという積極ぶりだ。
さらに、民生用AVCHDビデオカメラとしては、世界で初めて3D撮影を可能としたビデオカメラを8月下旬に発売(関連記事)。今後、デジカメなどにも3D対応を広げていく姿勢を示す。
3Dテレビへの反響は予想以上に高い
パナソニックのデジタルAVCマーケティング本部の西口史郎本部長は、「3Dテレビへの反響は予想以上のもの。発表時点では、国内の3Dテレビの年間出荷規模は50万台と見ていたが、それを上回るものになるだろう」と分析。7月以降には、42型が3Dテレビ全体の4割を占めるとの見方もしており、普及モデルの追加が3Dテレビの市場拡大につながる可能性もありそうだ。
7月29日に発表した同社2010年度第1四半期連結決算では、「3Dテレビは、当初計画のほぼ3倍の売れ行きとなっている。通期では全世界で100万台の販売を計画しており、それに向けて順調に推移している」(パナソニック・河井英明役員)という出足をみせる。
西口本部長は、「これまでは3Dを体験してもらうことに力を注いだが、これからは普及に向けた施策を加速することになる。今後は、42V型以上の薄型テレビに関しては、基本的には3Dを標準機能として搭載するほか、3Dリンクといえる製品群の品揃えにも力を注ぎ、3Dの利用シーンを提案していきたい」とする。
3Dグラスのラインアップを広げるという細かい施策を展開しはじめたのも、普及を視野に入れた取り組みのひとつだ。
同社では、従来からのフリーサイズの3Dグラスのほかに、新たに頭周囲別にS、M、Lの3Dグラスを用意。ビエラのUSB端子で充電できるなど、使い勝手にも配慮している点が特徴だ。「自分の3Dグラス」という環境に一歩踏み出したものであり、家庭での具体的な利用シーンを想定したものといえる。
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